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第14回 中国オペラ「木蘭詩篇」の日本公演で主演した雷佳さんにインタビュー
発信時間: 2009-12-31 | チャイナネット

「木蘭の花、木蘭の花、女子のようにあでやかで、男子のようにたくましい…」美しいテーマソングの中で、中国人民解放軍総政治部歌舞団による中国のオリジナルのオペラ「木蘭詩篇」が11月11日から20日にかけて、東京と札幌で4回の公演を成功裏に行った。

11日の学習院百年記念館での初公演には皇太子殿下がお目見えになった。13日の東京文化会館での公演はテレビで生中継された。中国のオペラが日本で観賞され、これほど人気を博したのは珍しいことである。この公演の舞台裏にはどんな物語があったのだろうか。日本の指揮者や楽隊との協力はスムーズであったのか。オペラの芸術総監督を務めた総政治部歌舞団の彭麗媛団長は、どのように歌舞団をリードしたのか。こうした問いを胸に、3回の東京公演で木蘭役を主演した中国人民解放軍総政治部歌舞団の青年声楽家雷佳さんを取材した。

「チャイナネット」のインタビューを受ける雷佳さん

花木蘭が男性に扮し、父の代わりに従軍するという、中国で約1500年前から伝わる感動的な物語は、2004年に「木蘭詩篇」としてオペラ化され、国内で好評を博したのみならず、米国やオーストリアでも上演され、国際的な名声を勝ち得た。今回の日本公演では中日両国の芸術家が改めて制作に取組んだ。木蘭役は、札幌では譚晶さんが演じたほか、3回の東京公演ではいずれも雷佳さんが主演した。

 

日本人観客の深い共鳴を呼んだ木蘭の物語り

 

木蘭役を演じた雷佳さん

 ――木蘭を主人公とする作品は、ほかにも女優・趙薇(ヴィッキー・チャオ))さんの新作映画「花木蘭」や米国のアニメ映画がありますが、あなたは木蘭という役をどうのようにご理解しておられるのか?ご自分の性格の中に木蘭に似たところはありますか。

米国のアニメ映画「花木蘭」のお陰で、日本の観客はある程度この物語を知っていました。趙薇さんとはじっこんの間柄ですので、彼女の映画「花木蘭」も見に行きました。オペラが、映画と違うのは、泣くことができないことです。泣いたら歌唱にひびきますから。

木蘭という役について、私は感動するところが多かったのです。まずは父親の手から剣を取って舞いを披露し、父に変わって従軍する志を立てるというところです。この時はいつも泣き出すのをじっと我慢しました。次に、木蘭は女性でありながら男性に扮して10年間も戦い続け、また将軍(劉爽役)も好きなのだが、口には出せないのです。だから、この人物は抑圧されているところが多く、ある程度ねじ曲がられたところがあると思います。その矛盾した心境も感動のもとになります。

自分の性格にも男性的な一面があり、屈しない硬骨漢のようなものがあります。木蘭を演じてからオペラ「再別康橋」で林徽因(詩人、建築史家、1904-1955)役を演じるとき、監督に「目線がちょっと鋭いようですよ。やはり木蘭のようですね」と言われたことがあります。

――日本人観客から受けた印象は?観客との交流は?

全体的に言えば、音楽の修養という面がとてもすばらしかったです。中華文化と日本文化がそもそも共通していることもあるかもしれませんが、花木蘭の物語を理解してもらえました。

第1回公演が終わると、中年の男性の観客が「共感を覚えるものがあるのだよ。かつて、日本にもこのような物語がありました。兵士が募集されて戦場に赴くのを余儀なくされ、家も家族もなくなってしまった例が多かったです。やはり戦争は庶民がよしとしないものですから、多くの観客がこのオペラを見て共感し涙を流しました」と語ってくれました。

第2回の公演の後、「木蘭」と叫んでくれる観客がいましたし、前列に座っているお年寄りの女性は何度も手を振ってくれました。それを見て公演は成功したのかな、とほっとしました。40分間もカーテンコールがつづいて、これは私たちにとって最高の褒美ではないかと思いました。

行く前はあまり大いに宣伝しませんでしたが、後期の公演になると、観客が増える一方でした。19日、東京新国立劇場での最後の公演は、チケットがなかなか手に入らない状態になりました。1週間アルバイトした収入でチケットを買った留学生もいたらしいです。

――このような成果は公演前に想像していたのでしょうか。

行く前は確かに心配していました。まずは言葉が通じないことです。理解してくれないのじゃないかと思いました。例えば、「木蘭辞」は河南省の民謡ですから、「河南梆子」といった民族音楽もオペラに取り入れられています。でも、公演の成果から見れば、本当に成功しました。在日中国人による翻訳作業を含めて、様々な面での作業がよく整いました。「字幕も本当に上手に訳されていました」と観客が高く評価してくれました。

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