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東アジアの枠組みでの中日韓協力
発信時間: 2009-12-30 | チャイナネット

復旦大学国際問題研究院副院長 任暁

近年、中国の対外関係において、小規模な多国間メカニズムを確立し発展させることが極めて重要となっている。中日韓の協力はまさに新たな小さな多国間メカニズムである。その起源から見れば、もともとはより広範囲の東アジアの協力の産物であり、東アジアの地域協力を母体にして育まれ、生まれたものだ。1997年のアジア金融危機発生後、東南アジア諸国連合(ASEAN)及び中日韓の首脳は定期会合を開始し、「ASEAN+3(10+3)」制度が徐々に確立されて発展していった。東アジア各国の首脳が年に1回協議するようになったことで、中日韓3カ国の首脳会談という制度が可能となった。99年11月、3カ国首脳はマニラで非公式の朝食会に出席して初めて会談した。03年10月の第5回会談で「中日韓の三者協力の推進に関する共同宣言」に署名、これは重要な一里塚となった。同宣言は14の分野で相互協力を展開することを決めており、その後、協力は14分野すべてでそれぞれに進展を収めた。

北京で第2回中日韓首脳会議(2009年10月10日撮影)

この会談は「ASEAN+3」という大きな制度の下で確立された小さな制度であり、初めの8年間、三者会談はいずれも東アジアサミットの開催地、即ち東南アジアの国々で行われていたため、少なくとも形式上はまったく自主的で注目されるものではなかった。 昨年12月、中日韓は首脳会談を初めて3カ国のある国(日本・福岡)で開催。将来も3カ国が順番に開くことになっているが、これは協力メカニズムの発展における一つの重要な象徴だと言える。育まれたそのより大きな制度の中から独立して生まれ、内容や形式においても一体化された小さな多国間制度になったからだ。

しかし、組織的な独立は、この制度と東アジア地域主義との分離、または別の存在であることを意味するものではない。実際、中日韓の協力と東アジア地域の協力は緊密に結びついている。過去、中日両国の間に矛盾と競争が存在していたことから、ASEANは比較的大きな役割を果たすようになり、開催や提唱、提言、牽引といった形で東アジア地域主義の成長の過程において極めて重要な役割を発揮した。だが、ASEANは中小国家の共同体として、経済力は比較的微弱であり、東アジア13カ国の経済総量のほんの一部を占めるに過ぎない。政治面においても、2回の金融危機による打撃を受けたASEANは、内部の結束力は低下の傾向にある。各国首脳の新旧交代により、当時の威信が高く、発言力の強かった首脳はすでにもういない。そのため、実践において、ASEANという「子馬」が東アジアの協力という「大車」を引っ張ろうとしても、力が思うままに入らないのは避けられない。近年、この協力プロセスが進展するに伴い、ASEANは引き続きこうした役割を発揮しようにも、明らかに疲弊状態を呈している。その最も重大な原因は、地域に公共製品を提供する能力と資源が不足にしていることにあり、これはまたASEAN内部の結束力の弱さとも関係している。

これに対し、中日韓3カ国のGDPは東アジア経済の大半を占めており、その地位は非常に重要だ。そのため、3カ国の協力の意義は決して3カ国内に限られるものではなく、東アジア地域協力の全プロセスと東アジア地域主義のさらなる発展に必ず重要な影響を及ぼすだろう。それは以下の4点に具体的に見られる。

先ず、中日というこの2つのアジアの大国がいずれもこの地域の対外関係における重要な位置を非常に重視しており、最近の日本の政局の変化と新内閣の発足に伴い、鳩山新首相など日本の指導者がアジアを重視し、その他のアジア諸国と共に東アジア共同体を構築することを重視する方針と姿勢をひとまず示したことだ。こうした中、東アジア共同体構築の問題をめぐる中日の交流が拡大すると見られるため、東アジアの地域協力における摩擦や疑念がある程度解消される可能性がある。これが東アジア協力の推進に非常に重要であるのは疑う余地はない。

次に、中日韓3カ国の経済総量は極めて大きく、相互協力や連携を通じて、地域の整合性の問題で比較的安定した共通認識が形成されることで、東アジア全体の協力に極めて大きな牽引的役割を果たすことができため、ASEANの不足が克服され、その弱点が補完されることから、「機関車」としての動力が強化されることだ。この点は、今年の早い時期に確定したアジア外貨準備比率を見れば明らかである。総額1200億ドルのアジア域内外貨準備のうち、中日韓3カ国の出資比率は80%、ASEANは20%だ。

第3に、中日韓の協力は東北アジア地域の協力プロセスを連動し、さらにそれを推進することだ。長年にわたり、東北アジア地域の協力は一貫して重い障害にぶつかり、進展は緩慢だった。それには経済や政治など様々な原因がある。中日韓関係の緊密化は東北アジアの地域協力に新たな光をもたらす、それは虚言ではない。この新制度の名称に「東北アジア」という文字はないが、東北アジア地域で経済力が最強の3カ国として、中日韓の協力の発展がその他の東北アジア諸国及び次地域の協力を実質的に推進するのは間違いない。

最後に、金融や貿易、環境保護、エネルギーの安全、観光などの多分野において、中日韓3カ国は互いに力を相殺するのではなく、東アジアの協力でその長所を伸ばせることだ。例えば、金融協力の面で、日本は先進的な金融システムと比較的豊かな管理経験を有しており、一部の役割を存分に発揮することができる。中国は人口が多く、日本も1億余りの人口を抱えており、東アジアの観光業には非常に大きな潜在力がある。クリーンエネルギーや省エネ技術の面では、日本はその他の東アジア諸国より先行しており、この面で大いに長所を取って短所を補うことができる。

総じて言えば、中日韓3カ国が共同の利益及びこの地域の平和と発展という総体的な目標から出発すれば必ず、この新興の小規模多国間メカニズムに極めて大きな発展の潜在力が出てくるだろう。

「チャイナネット」 2009年12月30日

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