人民元はまだ自由変動ができないが、同じアジアにある日本と中国は密接な経済関係にあるため、自由に売り買いできる日本円は人民元の国際市場における代理通貨となっている。人民元の値上げは中国を最大の輸出市場とする日本経済にとって有利なため、人民元値上げが話題に上るたびに日本円は主な受益者となってきた。05年7月21日に中国人民銀行(中央銀行)が人民元為替相場形成メカニズム改革を発表したその日、ドル円相場は金融危機前の数年で最も高い300ポイント以上下がった。「外匯網」が伝えた。
市場が今回最も注目しているのは、人民元値上げによるグローバル経済ないし市場全体のリスク許容量に対する影響で、日本円に対する影響だけではない。先週末、中国人民銀行が人民元レート形成メカニズム改革を再び発表するとドル円相場は一時下がったが、その後強い反発があった。今回の人民元レート改革は中国の経済成長に対する自信のあらわれで、中国が外部市場に対する需要を刺激する上で有利となり、グローバル経済の回復の手助けになると市場が判断したためだ。これにより市場におけるリスク許容量の上昇が刺激され、日本円の各主要通貨との交換に圧力がかかり、ドルとの交換もその例外ではなかった。
先週末に中国人民銀行が人民元レートの改革を発表した後の円安は一時的なものだった。これは、人民元値上げはマクロ経済的な観点からみて日本円に有利だと市場が判断したわけではなく、人民元値上げはグローバル経済に短期的なマイナス影響をもたらすと市場が考え直したためで、リスク許容量の角度から日本円を支持したといえる。グローバル経済の回復が依然として脆弱な今、人民元値上げは中国人民銀行が緊縮政策を講じたのと同じように、中国の経済成長を鈍らせ、市場が本来予測している人民元値上げが国内需要を刺激しグローバル経済が活性化するという願望を覆すことになる。これは市場感情をリスク嫌悪に向かわせ、日本円支持につながる。
長期的に見ると、人民元値上げは日本円にとって有利だ。中国は日本最大の輸出国で、人民元の購買力が増強すれば、日本経済の回復を持続的に支持していくことにつながる。同時に日本は中国の主要輸出国でもあり、中国が日本向けに輸出している多くの消費品の価格が跳ね上がれば、今デフレと抗争している日本にとってはいい面もある。
「人民網日本語版」2010年6月24日