「福島の50人の英雄」作業中の写真
命の危険も顧みず、原発事故の悪化を阻止しようと福島原発で作業を続けている「福島の50人の英雄」は全世界を感動させたが、欧米メディアによれば、その多くは原発で力仕事をしている「素人」に過ぎず、今回の重要な作業にあたる能力がないことがわかった。
イギリスのメディアによれば、そのうちの1人、タバコ農家が本業の菅野信吾さんは、他人の目から見れば、放射線から日本を救うために奮闘する、誇り高き英雄かもしれないが、家族にとっては命の危うい状況に置かれた夫であり父親だ。本来、少しでも家計の足しにしようと原発で力仕事をしていたにすぎなかった。
菅野さんの自宅は原発から半径30キロの立入禁止地域にある福島県南相馬市にある。タバコ農家の菅野さんにとって、原発でのアルバイトは非常に重要な収入源だった。
叔父の菅野正夫さんは、「他人は原発の穴を塞ぐために命の危険を犯している彼らのことを原発の武士というが、信吾のような作業員はまったくの素人で、実際には何の役にも立たない。信吾のような者をこういう作業に使うべきじゃない」と語った。
福島第一原発事故の発表があってすぐ、原発の建設作業員だった菅野信吾さんは上司の指示で早めに帰宅した。原発危機が悪化し、日本政府が避難範囲の拡大を発表すると、彼は妻と小さな娘を妻の実家に移り住ませた。そして、他の家族が南相馬市から山形県米沢市の避難所に移るのを手伝った。
菅野信吾さんの親戚によると、信吾さんが避難の準備をすべて整えたところに、原発側から出勤要請の電話がかかってきたという。このことを家族が知ると、何度も信吾さんに電話をかけ、「お前は農家で、原発のエンジニアではないんだから、原発危機の処理なんてできっこない。これから親孝行もしなければならないし、娘を育てる責任もあるんだぞ」と会社に行かないよう説得した。
菅野正夫さんは、「お前には家族がいるんだから、何でも会社を優先するべきじゃない。家族こそが一番大事なんだぞ」と説得したという。先週金曜日、菅野信吾さんは家族の忠告を聞かず、原発に戻った。そしていまだに消息はない。
仕事でよく福島原発を訪れていた山本敬一さんは、原発の作業員はある意味、「洗脳」されていたという。日本人は全身全霊で会社に忠誠を尽くし、すべて会社を優先させる。
原発に残って作業していた作業員は本来50人だったが、その後、150人にまで増え、交替で作業を続けている。そしてメディアは彼らのことを、「福島の英雄」と祭り上げている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年3月25日