日中映像交流事業の一環 山田洋次監督と中日大学生の交流会が開催
山田監督:「母べえ」の撮影で戦争を反省
山田洋次監督
日中映像交流事業の一環である山田洋次監督と中日大学生の交流会が6月9日午後、北京映画学院で行われた。交流会には、中国で日本映画界の第一人者として知られる山田洋次監督、中国で有名な謝飛監督、映画「靖国」の李纓監督および映画監督になる夢を持つ中日両国の大学生たちが参加し、山田洋次監督の監督生活50周年を記念した。
参加した中日両国の大学生は、映画「母べえ」を鑑賞して深く感動し、何度も拍手を贈って監督に敬意を表した。映画「母べえ」は山田監督の80本目の作品で、ある一家の父親が「思想犯」として収監され、その教え子・山崎が一家を支えて明るく暮らすが、その後に戦争に行った山崎は死亡し、広島にいる父親の妹も原爆で被爆して命を落とすという悲しいストーリーだ。
「母べえ」を撮影して戦争を反省
中国でよく知られる謝飛監督は、山田監督がこの年になって戦争を反省する現実主義の映画を撮影したことに非常に感心したと語った。山田監督はこれについて、「この映画は普通の家族の生活を描くが、その後ろには巨大な歴史の背景がある。この映画を通して、戦争は普通の人たちに苦しみや悲しみを与えると伝えたい。その戦争により日本は泥沼にはまり込んだ。中国の観客にもその時代のことを考えてほしい。この映画から教訓を得て、次の世代に伝えるべき」と語った。
監督になるのは運命
東京大学の法学部を卒業した山田監督は、映画監督生活50年を迎えた。当時なぜ映画関係の道を選んだかについて、「学生時代は監督になろうなど全然思わなかったが、政治家やサラリーマンになりたくなくて、自由に生活したいという贅沢な考えがあった。時代の背景から、いろいろな出版社、新聞社などの試験を受けたが、自分で映画を選ぶことはなく、映画事業に選ばれたといえる」と正直に話した。また、「映画の撮影は、テクニックの上手さだけを追及するのでなく、物語の本当の深さや観客に一番伝えたいことをよく考えなければならない」と学生に教えた。
中国の映画を見たことがある 喜劇には現実味が必要
山田監督は中国の馮小剛監督が撮影した「唐山大地震」、「狙った恋の落とし方」(非誠勿擾)などを見たことがあるという。また、国際映画祭で最高賞の金獅子賞を獲得した賈樟柯(ジァ・ジァンクー)監督の「三峡好人」を高く評価した。
山田監督は、コメディー映画の俳優は非常に重要で、彼らは人間に確かに存在するさまざまな欠点を優れた演技を通して観客に伝えると考える。ただ面白い言葉や動作だけでは不十分で、普通の生活の中の現実味が必要だと話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年6月9日