「混浴」は現代の日本ではなかなか見られない。一般の風呂屋は男性が入る「男湯」と女性が入る「女湯」に分かれており、実際に混浴の場所といえば「秘湯」の場所しかないとも言える。
もっとも、徳川幕府の江戸時代は日本で男女の混浴が大きく発展した時期だと言えるだろう。混浴の伝統は辺鄙な山野から都市へと伝わって流行した。日本で記録されている最も早い公共浴場は1591年ごろで、中国の明朝に相当する。
男女混じった人々がわずか1枚のタオルだけを身にまとい、洗い場でまず人目をはばかることなく暖かい温泉の湯を浴び、体の汗や埃だけでなく心の雑念まで洗い流し、雪や花を観賞しながら温泉につかる…。「混浴」というと「性」と結びつけて考えがちだが、実は日本の混浴は「性がない」のだ。