今年中日両国は国交正常化40周年を迎える。だが新年早々「無人島への命名」事件が発生。2月10日には日本側が「防衛報告」を発表し、「中国の海洋覇権の脅威」を明言。これに続いたのが今回の「南京虐殺」争議だ。5月には日米首脳が中国をにらんだ海洋協力枠組みを構築する。こうした出来事によって人々は中日関係への自信を失い、「制御不能」感を覚えている。(文:庚欣・日本JCC新日本研究所副所長。「環球時報」掲載)
こうした状況であればあるほど、われわれは自信と冷静な思考を保たなければならない。これは事実上「中日関係は誰が主導するのか」という根本的問題に関わってくる。「中米関係は誰が主導するのか」は厄介な問題かも知れない。各時期、各分野の各問題において主導権の分担は異なり、一概には言えないからだ。
だが中日関係の主導権は比較的明確なはずだ。甲午海戦(黄海海戦)から第二次世界大戦終結まで、中日関係は基本的に日本が主導した。戦後中国は次第に主導権を獲得していった。特に1950、60年代になると、中国は世界の強暴な勢力を恐れず、米軍に痛撃を与え、米ソ両覇権に拮抗して、日本を心から敬服させた。しかも中国は人道的観点から日本に寛大な許しを与え、平和主義へと改造し、日本をいたく感動させた。同時に中国の独立独歩の政治発展路線とその成果も、日本を深く震撼させた。これらによって、中日関係に対する中国の主導的地位が固められた。これは近代以降初の真の対中友好ブームももたらした。その後、中日関係は二国間関係や東アジアの構造を遥かに超え、中米国交正常化を直接導き出した。今回騒ぎを起こした名古屋市長は、当時まさに名古屋で友好的日本人が中米「ピンポン外交」のために良好な環境を提供し、中国の国際社会復帰への条件を整えたことに気づいていないのだろう。
中国は百年の錬磨を経て、すでに東アジア地域と中日関係の方向性を主導する大国としての資質と能力を備えるにいたった。これは中国が東アジア唯一の国連安保理常任理事国であるというだけではなく、中国の歴史的能動性、地政的包括性、総合国力、および中日関係の淵源によって決定づけられることだ。今日の選択は「中国はこの主導権をしっかりと掌握し、中日関係さらには東アジア情勢を平和的発展の思想に沿って着実に前進させるのか?それとも他国に主導権を譲るのか?」にある。この競争は殺気は帯びていないかも知れないが、なおさらに激烈で、複雑で、困難だ。中国としてはハードパワーだけでなく、ソフトパワーが試されている。われわれは中日両国人民、平和的発展の時代、互恵的発展の最大の利益に着眼しなければならない。少数の過激分子に拘泥するのではなく、感情をぶちまけるだけでもなくだ。ましてや主導権をおめおめと譲り渡してはならないのだ!
「人民網日本語版」2012年3月1日