中日関係には不可解な難問が存在する。両国関係が良好な時には、熱烈な友好を見せることがあるが、一旦外交関係が困窮に陥いると、両国間で築き上げた「友好関係」は紙よりも脆くて薄っぺらいものになってしまい、人々を絶望させるほどだ。なぜこうなるのか。その重要な原因の一つは、中日両国がいまだに歴史問題をきちんと清算し、領土問題を徹底的に解決していないために、平等な相互信頼関係、互恵関係で結ばれた利益共同体を築くことができいからであり、正確な歴史観を持った上で、友好事業に尽力する人がまだまだ不足しているからである。
長きに渡って、中日両国は民間の外交を極めて重視してきた。それは正しい考え方だが、これまでの民間外交は主に日本上層部の社会に集中しており、政治、経済の大物および学術界の著名人の間で展開されていた。これは1960,70年代においては、正しい方法であり、多くの著名人が中日関係の発展を推進することに積極的な役割を果たしてきた。しかし、新しい時代に入り、日本の社会は巨大な変化を遂げ、大衆メディアが日々発展する中、「草の根」階層の台頭が日本社会の大きな流れとなっている。彼らは選挙やネットでの書き込みを通じて発言し、様々な民意アンケートによって国の政治に影響を与えるようになった。そのため、日本の各党、更には内閣までも民衆の注目を集めるために、彼らの口に合い、支持率を得られる政策を打ち出す傾向にある。長い目で見た日本の根本的な利益を考え、国民の意向にそぐわない政策を実施する勇気を持っている政治家はいないだろう。