中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、各国の注目が集まっている。各国・各界はAIIB加入に関する話題で連日盛り上がっているが、そのうち特に注目されているのは米国と日本の選択・動向だ。31日までに、すでに50カ国がAIIB加入を宣言した。世界銀行の国内総生産を基準とする世界の経済大国20国のうち、加入を申請していないのは米国、日本、カナダ、スペイン、メキシコのみとなっている。
この事実を前にして、最も落ち着きを失っているのは日本だろう。4月1日付朝日新聞は、「米国は戦略もなく自ら孤立を招き、日本は顔色ばかりうかがっている。日本政府内部からは、米国が突然参加すれば、日本だけがはしごから落ちないという保障はない」と論じた。
日本の懸念も無理はない。これまで米国の同盟国を含む多くの国が、中国主導のAIIBへの加入を相次いで発表したが、米国は協力の姿勢を示していない。米国のオルブライト元国務長官は3月31日にこれを「失策」とし、米国の態度は事を「面倒にした」と述べた。オルブライト元国務長官は、「米国は協力の意識を取り戻し、別の手段によりAIIBとの協力を進めるべきだ。こうして初めて規則の制定に参与し、AIIBの透明度を高めることができる」と提案した。
これに伴い、米国のAIIBに対する態度にゆらぎが生じた。米国のジェイコブ・ルー財務長官は31日、2日間の訪中を終え帰国した。同氏はサンフランシスコで「米国は世界銀行と国際通貨基金などの既存の国際機関を尊重しさえすれば、いかなる新たな開発銀行に対しても歓迎を表明する」と発言し、これまでの米国の反対的な立場を変えた。
米国が曖昧な態度を示していることで、日本が最も苦しい境地に陥っている。 日本はAIIBに加入すべきかを判断するほか、米国の立場の変化を観察しなければならない。
日本経済新聞によると、英国がAIIBに参加を宣言する直前、財務省が首相官邸に「G7でAIIBに参加する国はない」と報告していたとされる。誤った情報が上げられていたばかりか、日本がAIIBに参加した場合の メリットについても十分には論議されていなかった。安倍晋三首相の側近は日本経済新聞に対し、「日本に隙があった」と述べた。読売新聞も「外交上の誤算だ」と認めた。
朝鮮日報は、日本政府内部で財務相の立場が最も保守的だと論じた。その大きな原因は、対米関係と対中けん制だ。財務省関係者は、「米国とぎくしゃくすれば、どういうことになるか分からない。それは避けたい」と語った。しかし、そうした意見が全てではないという。AIIBが発足すれば、アジア開発銀行(ADB)と融資対象が相当部分重複せざるを得ない。現在東南アジア諸国には、「ADBの融資規定があまりにややこしい」との不満が根強い。 読売新聞が取材した東南アジア諸国連合(ASEAN)の外交関係者は、「融資規定が緩いAIIBが発足すれば、ADBに対する不満が噴出するのではないかと考え、日本の財務省はAIIB発足を嫌っているのではないか」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年4月3日