共同通信によると、日本と欧州連合(EU)は12日より東京で、経済連携協定(EPA)交渉の首席交渉官会合を開始する。EUが求めているチーズ、パスタなどの農産物市場の開放について、最終的な詰めの協議に入る。計画によると、EUのマルムストローム欧州委員と日本の岸田文雄外相が長官クラス会議を開き、自由化の基本枠組みの年内「大筋合意」を目指す。
環太平洋経済連携協定(TPP)が米国の離脱により終了の危機に立たされるなか、日本は別のパートナーのEUに視線を転じ、新たな活路を見出そうと躍起になっている。
日本とEUはEPA交渉で、長期的に駆け引きを展開している。2013年4月の開始以来、双方は交渉を何度も実施してきたが、食い違いが次々と生じた。2015年末に大筋合意という計画は、現在も実現されていない。
共同通信によると、政府はEUと年内の大筋合意を目指すEPA交渉を推進するため、関係閣僚会議を先月16日付で設置し、翌日に初の作業部会を開いた。共同通信は「EUと交渉を加速し、自由貿易制度を重視する強い姿勢を示そうとした」と分析した。
中国社会科学院日本研究所外交研究室長の呂耀東氏は「日本は以前TPPを重視し、アジア太平洋で日米が規則を制定する自由貿易区を設立しようとしていた。現状を見る限り、TPPはほぼ絶望的だ。日本は米国という最良の同盟国から、経済的見返りを得られなくなった。そこで日本は日欧EPAの交渉を加速し、EUによりこの利益を補おうとしている。これは日本が最近、日欧EPA交渉に意欲的になっている重要な原因だ」と指摘した。
また韓国の政局混乱により、年末の中日韓首脳会談が水の泡となった。これもまた、首脳会談により中日韓自由貿易協定(FTA)交渉を推進しようとする、日本の考えを打ち消した。呂氏は「多国間の協定が無理になると、日本はEPAという二国間協定に取り組んでいる。上述した現状を受け、日本は今後一定期間に渡り、日欧EPAにより地域経済協力の先陣を切ることを全体方針とする」と予想した。
それではアクセル全開の日本が、懸案となっている日欧EPA交渉を高速道路に乗せ、終点まで送り届けることは可能だろうか。
双方間には依然として食い違いが残されている。EUは日本に対してチーズなどの乳製品、パスタなどの小麦製品、ハムなどの加工に用いられる冷凍豚肉、砂糖を使用するチョコレートなどの関税引き下げと輸入割当の拡大を求めており、これが日欧EPA交渉の主な争点になっている。またEUは政府調達面で、日本の地方自治体と鉄道会社に対して、EU企業向けに調達市場を開放するよう求めている。ところが日本政府は一部品種でTPP以上の譲歩を示せば、TPPを日米二国間自由貿易協定に変える火種になる恐れがあると判断し、慎重に対応しようとしている。
日本国内では農業が強く保護されている。安倍政権が農業保護政策で、国内の圧力を克服し譲歩できるかが重要だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年12月13日