中日相互信頼の「世代の壁」、いかに乗り越えるべきか

中日相互信頼の「世代の壁」、いかに乗り越えるべきか。

タグ:相互信頼

発信時間:2017-12-27 10:34:36 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 日中協会理事長の白西紳一郎氏が今年10月に亡くなり、人々から惜しまれている。両国関係は近年苦境に陥っているが、白西氏はどのような時であっても現代中国の良き理解者だった。中国と日本では今日、白西氏のような二つの文化の意思疎通を図れる人が必要だ。今日及び未来において、いかに白西氏ら開拓者を理解し、その精神を引き継ぐかが重要になる。

 

 中日国交正常化前、友好団体は中日両国を結びつけた。日中友好運動は党派や価値観を超越する国民的な運動になった。そのためこの運動は日本社会に長く根ざすことになった。あの時代、日本人の間には「日中は二度と戦わない」という素朴な信念があった。これはこの運動を推進する原則であり、両国ひいては国際社会にとっても神聖なる原則だ。

 

 今日の中日には、1950年代のカリスマ的な民間運動のリーダーが不足している。当時は東京と北京の間を往復するだけでも数日かかった。しかし当時の民間リーダーは苦しみに耐え、両国に友好の橋をかけた。1972年以降は中日間で4つの文書が調印されたが、これらの制度は両国関係の悪化をなぜ阻止できなかったのだろうか。「人能く道を弘む。道の人を弘むるには非ず」という古い言葉がある。我々は紙に記すに留めるのではなく、生き生きとした中身を注ぐ必要がある。

 

 中日の相互理解は、熱意溢れる実践的な人によって実現できる。1980年代に日本の若者3000人が訪中し、現地に感動をもたらしたが、この活動は現在も日本社会で引き継がれている。当時彼らをもてなした中国側の関係者はその後、各分野で中日交流に貢献した。今日になり、いかに30年以上前の感動を取り戻すべきだろうか。中日友好はいかに熱意あふれる多くの若者を集めるべきだろうか。

 

 1990年代以降、中日経済関係が高度発展したが、「開拓者」らがこの世を去り始めた。中日の相互信頼は、「世代の壁」に直面した。

 

 今日の中日の交流で、民間は政府の先を歩いている。中国の多くの一般人が訪日している。彼らは観察者、交流者であり、風景を見るだけではなく体験を望み、交流を好んでいる。交流は常に双方向のものだが、いかに観光と中日の理解促進を結びつけ、低迷する日本人による訪中を促すべきだろうか。これは双方に共通する課題だ。

 

 両国の対立の背景には、ナショナリズムの要素がある。我々はナショナリズムを消し去ることができないが、これが存在することを認めた上で、その悪影響を超越するべきだ。中国側は政治的な観点に関わらず、1950年代に日本側の多くの関係者を招待した。この交流の遺産には継承の価値がある。交流ルートが不足していた時代において、両国は交流機関を設立した。これらの機関は現在、新しい位置づけを模索し続けている。多くの若者を招くことで、若々しい活力を維持できる。

 

 我々の置かれている国際社会の主体は、国民と国家だ。国民と国家の枠組み内で、知識体系は国の知識になり、知識人は国に隷属する知識人になる。国際政治学者は往々にして、最も早くナショナリストになる。今日の国際政治の研究において、我々は「国益」と「国民の利益」をいかに見据えるべきだろうか。

 

 遠く離れようとしている理想を取り戻すため、なんとか方法を考えなければならない。この世代が年老いれば、次の世代がある。中日政府は青少年の交流を重視しており、特別に資金を確保している。この「青少年交流」は現在、民間機構に委託されることが多い。いかに若者の交流を一種のプログラムから、恒久的な民間交流制度に変えるべきだろうか。この交流を高校に委ね、一種の留学制度に変えてはどうだろうか。

 

 両国政府の関係が近年停滞し、民間交流も影響を受けた。両国の民間人と知識人が国境を越え、多くの安定的な交流ルートを形成し、さらには多くの各分野の「市民共同体」「知識共同体」を構築したとする。それならばこの国境を越える「市民共同体」「知識共同体」は、両国関係を安定させる「バラスト」になる可能性が高い。中日は「戦略的相互不信」を乗り越えなければならない。新たな歴史の時代において、中日は相互理解の促進に意欲的な新リーダーを必要とし、多くの「市民共同体」「知識共同体」の構築を必要としている。

 

 当時、早稲田大学の教授だった依田憙家氏は「日中友好大学」の建設を提案し、大反響を呼んだ。筆者が身近にいる日本人の教授にこの構想を話すと、熱心な反応が得られた。来年は中日平和友好条約締結40周年だ。この条約が締結された後、2世代の人々が成長し始めた。我々は今後、両国間の次の世代、また次の世代へと平和を伝えていく必要があるが、人材が不可欠だ。両国は中日やアジアのために、「アジア平和大学」を建設してはどうだろうか。(筆者・劉迪杏林大学大学院教授)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年12月27日


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