欧州最大の家電見本市「IFA」において、家庭向けの愛玩ロボットが次々登場している。カメラや音声を認識するセンサー、人工知能(AI)などの機能を搭載。人の指示を受けて音楽を流したり家電を操作したりするほか、自ら踊るロボットもある。いわば「動くAIスピーカー」だ。これらのロボットは家庭内のデータを集めるデバイスとして主導的な地位を占め、新サービスの開発を促す。日本経済新聞(電子版)が6日に伝えた。
「家のどこでも君のそばにいるよ」米スタートアップのテミは利用者の顔を認識してついてくる自走式のロボを出品した。早ければ今秋にも米国と欧州、中国で1500ドル程度で発売する予定だ。
独自開発のAIとディスプレー、カメラを搭載しており、利用者の顔や家庭内の家具配置などを把握する。照明や空調を操作できるほか、外出先から家の中の様子を確認するのにも使える。担当者は「いつもそばにいるという感覚はうれしいはず」と魅力を強調した。
深セン市に本社を置く優必選(ウブテック)は、かわいらしさに力点を置いたロボ「リンクス」を展示した。米アマゾンの音声AI「アレクサ」を搭載。複数の関節を動かして音楽に合わせて踊ったり、手を挙げて人の呼びかけに応えたりする。家電操作や受信メール受信の通知などもできる。価格は800ドル程度。担当者は「かわいさで愛着がわき長く使ってもらえるはずだ」と話した。
韓国LG電子はディスプレーに「目」を表示して感情表現するロボット「クロイ ホーム」を展示した。芝刈り機を遠隔操作できる。冷蔵庫を確認してレシピを提案し、調理の準備としてオーブンを温めることもできる。
各社が目指すのは、利用者の好みや生活パターンに関する情報収集の「入り口」確保だ。どんな音楽を好み、どんな料理をつくり、エアコンをどう使うのか。利用者の同意は前提になるが、愛玩ロボットを通じてビッグデータを蓄積できれば、多様な新サービスの開発につながる。
日本企業ではソニーが今年1月、犬型家庭用ロボット「aibo」を12年ぶりに復活させた。他の機器とつながる機能は持たないが、カメラなどで様々な情報を取得できる。
傘下のソニーモバイルコミュニケーションズも、筒型で「顔」を持つコミュニケーションロボット「エクスペリアハロー」を展示した。高齢者の見守りなどでのサービス展開でセコムとの協力を模索している。
家庭内ロボット市場は拡大している。矢野経済研究所によると、2020年度の日本のコミュニケーションロボット市場規模は、2015年度比3.6倍の87億円になる見通しだ。
家庭で同様の役割を担うのがAIスピーカーだ。アマゾンや米グーグル、LINE
などが展開を急いでいる。2018年内に世界の総出荷台数が1億台を超えるとされ、普及期を迎えようとしている。
LG電子やレノボ・グループなどは今回、米グーグルの音声AIを搭載する画面付のAIスピーカー「スマートディスプレー」を展示。ファーウェイは「アレクサ」搭載のAIスピーカーに、ルーター機能を組み合わせた商品を発表した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年9月8日