ロイター通信は9日、「製造業を中国から戻そうとする日本、サプライチェーン断裂は実行困難」と題した記事を掲載した。要旨は下記の通り。
日本のアイリスオーヤマは今年4月、日本国内でマスクの生産を開始することで合意した。感染症の影響で中国工場の操業が停止されるなか、日本は20億ドルの特別資金を拠出し、日本企業の生産の国内回帰を促した。日本でマスクの需要が激増しているため、国内でのマスク生産には一定の合理性がある。補助金を受給している日本大手企業は現在、アイリスオーヤマのみだ。
その他の多くの(在中)日本企業は、生産の国内回帰はまったく実情に合わず、経済的でもないと表明した。彼らは中国で存在を維持する必要がある。これは多くの製品が最終的に中国の消費者向けに販売され、かつ「ジャストインタイム」の条件を満たすため、納期短縮による効率的な生産を優先的に考慮するからだ。サスペンションなどの自動車部品メーカーのヨロズの広報担当は「当社が生産する部品は大型で、購入者に近づくことでコストを削減する必要がある」と述べた。
日本の自動車メーカーにとって、中国という世界最大の自動車市場のサプライヤーへの依存が、最も割に合うビジネスだ。日本3大自動車メーカーのトヨタ、日産、ホンダは中国で3社以上の研究開発センターを構えており、そのサプライヤーも追随している。ある日本部品サプライヤーは「ソフトが開発される場所でハードを開発・製造する。政府の新たな刺激策が製造業の日本回帰だけを重視し、研究開発分野をないがしろにするならばミスリードが発生する」と述べた。
日本の経済産業省の調査によると、中国に進出した日系企業は2018年3月現在で7400社以上にのぼり、2008年より60%増加している。別の調査によると、中国に進出した日本メーカーは同年2520億ドルの商品を販売したが、うち73%が中国で販売され、17%が日本に輸出された。
多くの日本企業にとって、中国は依然として割安な選択肢だ。ディスプレイ・テレビメーカーのシャープは日本で超薄型ディスプレイを作り、これを中国に運んでからバックライト、コネクタ、その他の部品を取り付ける。その間、人によるテストと機械による調整を続けなければならない。シャープの広報担当は「長期的に後半の工程は労働集約型の中国で行われていた。日本に回帰すればコストが高くなる」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年6月10日