福島の核汚染水問題 日本は国際社会と解決方法を模索せよ

福島の核汚染水問題 日本は国際社会と解決方法を模索せよ。福島原発事故は現在、世界で最も深刻な原発事故の一つとされているが、これは「天災」であり、それ以上に「人災」である…

タグ:福島 原発 汚染水 事故 海洋放出

発信時間:2021-05-06 14:48:11 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 日本政府は4月中旬、福島原発事故による約130万トンの核汚染水の海洋放出を正式に決定した。早ければ2022年に始まる。本件は国際社会から広く注目され、各国政府及び国民が反対した。世界の300以上の環境保護団体が公然と抗議し、日本国内の多くの民間団体と識者も本決定に強く反対した。実際に福島原発を運営する東京電力は数年前、数百トンの核汚染水がタンクから溢れ出し海洋に流入したことを認めた。今回は安全な処理手段を使い果たす前に、日本は国内外の疑問と反対を顧みず、一方的に海洋放出を決定した。これは周辺諸国の利益を直接損ね、生態環境の重大なリスクを生み、かつ自国の利益とイメージを損ねた。(文=盧昊 中国社会科学院日本研究所総合戦略研究室副主任、副研究員)

 

 福島の核汚染水は、2011年の東日本大震災による福島原発事故の残された問題だ。福島原発事故は現在、世界で最も深刻な原発事故の一つとされているが、これは「天災」であり、それ以上に「人災」である。菅政権も前政権からこの「負の資産」を引き継ぐと、同問題の処理の問題に困惑させられた。感染対策に取り組まず、政治とカネのスキャンダルに巻き込まれた影響により、菅政権の高かった支持率の低下が止まらず、政権運営の基盤が揺らいでいる。政権の基盤を安定させ、今秋の衆院選で勝利を収めるため、菅政権は原子力・電力財閥及びその他の関連利益勢力に譲歩し、核汚染水問題を早期解消する傾向を強めている。今年3月上旬の東日本大震災10周年に際し、菅氏は福島を視察した際に「核汚染水問題を早急に解消する」と表明した。日本側にとって、核汚染水のいわゆる「処理」後の海洋放出は、最も手っ取り早く最もローコストな解決策だ。


 日本政府がこの時期に海洋放出を発表したのは、国内の政治の圧力に対応するほか、米国と合意を形成していたためでもある。バイデン政権発足後、日本はトランプ時代の米日関係の非常に不安定な状態を変え、日米ハイレベルの相互信頼を早急に再構築し、米国側から戦略的な支持を得ようとし、対米外交に積極的な姿勢を示した。米国側はアジア太平洋戦略を強化し、中国をけん制する面で日本の力を必要としている。そのため核汚染水問題で日本側に「青信号」を出し、その代わりとしてより緊密で堅固な同盟関係を手にしようとした。他にも米日両国の原子力産業は長期的かつ深い利益のつながりを持つ。日本側の核汚染水の「問題早期解決」は米国側の利益に合致し、米日の核汚染水問題の一致した歩調は双方の政治的取引の結果だ。米国側の放任と支持は、日本側の決定の自信を支えた。


 福島の核汚染水は原発事故の産物であり、正常に稼働する原発が排出する一般的な廃水とは異なる。国際原子力機関(IAEA)の専門家チームは以前の評価の中で、福島原発のトリチウムを含む汚染水の海洋放出は周辺諸国の海洋環境に影響を及ぼし、かつ「処理済み」の廃水であってもその他の放射性物質が含まれるため、さらなる浄化が必要であると指摘した。東電が原発事故の処理で隠蔽と虚偽報告を繰り返していた前科があり、信用が不足していることから、日本政府はいっそう監督とチェックの責任を果たし、オープンで透明な核汚染水の処理プロセスを積極的に保証し、周辺諸国及び利害関係者と十分に協議するべきだ。現在の処理方法がこの基本原則に背くことは間違いない。中韓などの隣国はすでに、日本側の海洋放出の軽率な決定は「周辺諸国の確かな利益への侵害」であり、極めて無責任な行為であると明確に指摘している。


 核汚染水の処理は重大な件で、広く影響を及ぼす。日本側は誠実に各方面からの疑問と向き合い、間違った決定を撤回し、国際社会と協議し解決方法を探り、透明でオープンな手段で核汚染水を適切に処理するべきだ。

 

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年5月6日

 

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