日本の岸田文雄首相は7日に韓国を訪問し、韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領と会談を行った。前回の会談からわずか50数日ぶり。ところが、歴史問題について日本側に謝罪の意思はなく、対日政策について韓国内で見解が分かれており、両国関係改善の見通しはそれほど楽観的とは言えない。
ソウル市民5000人あまりが6日、雨のなか、市の中心部で抗議集会を開き、徴用工問題及び歴史問題について日本政府に真摯な謝罪を求めた。
韓国大統領府前で行われた集会では、抗議者は「韓米日同盟の構築を中止しろ」「対日屈辱外交をやめよ」「核汚染水の海洋排出を即停止せよ」などと書かれたプラカードを掲げ、第二次世界大戦中の日本による植民統治への謝罪及び賠償を求め、韓米日軍事連携の拡大に猛反対し、地域の平和と安定を共同で維持するよう呼びかけた。
中国社会科学院アジア太平洋及びグローバル戦略研究院の王俊生研究員は、岸田氏は今回の訪問を通じ、日韓関係を改善し、朝鮮への威嚇を強化し、中国牽制という米国の意図に合わせ、米日韓協力をさらに強化することを狙っており、また、尹氏に関しては、岸田氏の訪問が「対日屈辱外交」という国内の批判を軽減し、朝鮮への威圧を強める効果があることに期待していると分析した。
王俊生研究員は、当面の韓日関係の改善は、主に韓国の一方的な妥協と譲歩によって成り立っており、歴史問題や領土問題などについて日本側はこれまでの立場を貫き、韓国内では尹政権の対日政策に対する見解が分かれているため、両国関係の改善の流れが続くかどうかは楽観的ではないと指摘した。
尹政権は発足後、支持獲得のために西側に「一辺倒」の姿勢を取った。王俊生研究員は、米国の要求通り、対日関係を積極的に改善する韓国は、米国に迎合して「誠意」を示すと見ている。
韓日関係の変化の裏に、米国の操作があることは明らかである。バイデン政権は発足後、インド・太平洋地域における外交・経済・軍事面の投下を急増させ、北東アジアでは日韓を中国牽制の手先として利用した。米国は米日同盟・米韓同盟を米日韓同盟に昇格させようとしているが、その目的は相変わらず「米国優先」である。ところが、韓日には矛盾が多数あり、両国関係の改善を活用し自国の利益を図ることも容易ではない。
三国にはそれぞれの利益があり、米日韓安全協力に対する理解が大きく食い違っている。米国は「インド・太平洋」を強調し、覇権維持・中国牽制の効果的な道具と見ている。韓国は朝鮮核問題が焦点だと主張している。日本は共同軍事演習を通じて自国の防衛力向上、集団的自衛権の行使を狙っている。三国のそれぞれの思惑は三カ国同盟の構築の足かせとなって いる。
韓国紙「ハンギョレ」は、尹政権の一年間の外交・安全政策は「歴史と平和を失い、古い理念を手にしただけ」だと批判した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年5月10日