文=ジャーナリスト・木村知義
物静かに淡々とだが、なんと率直でみずみずしい語りかけだろうか…。
習近平主席の第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラム開幕式での基調演説を読んだ第一の感慨です。
「このイニシアティブの当初の意図は、古代のシルクロードのつながりを軸に据えて、世界経済の成長に新たな原動力を注入し、世界発展の新たな空間を切り開き、国際経済協力の新たなプラットフォームを構築することでした」と、「一帯一路」を構想した時の習氏自身の初心を確認するかのように語り始める言葉に、あらためて「一帯一路」の原点を思い起こしました。
なによりも、今回のサミットフォーラムが、「遅れをとっている国々」や「小さな、しかし優れた民生プロジェクト」に目を向けて大事にしていくことを強調していることに深い共感を抱きます。
また「これからの道のりには、良い時も悪い時もあるだろう。我々は目標志向と行動志向を堅持し、努力を続け、最後まで青写真を描くべきだ」という語りかけに、率直で熱い思いが伝わってきます。世界史的に例を見ない「一帯一路」イニシアティブの提唱からこの10年、さまざまな試行錯誤の中で、時には未経験の困難にぶつかり、苦闘しながらも、多くの経験を重ね、知恵を蓄積し、中国と参画する国々が手を携えて問題を解決しながら歩みを進めてきたこと、その試練と苦闘を乗り越えてきたからこそ「一帯一路」イニシアティブが大きく世界を包み込む発展の原動力となって世界を牽引しているのだと胸に響きました。
「我々は、イデオロギー的対立、地政学的ゲーム、ブロック政治的対立には関与せず、一方的な制裁、経済的強制、『デカップリング』(サプライチェーンの切断)に反対する」ときっぱりとした決意を世界に示していることも、まさに今日的な重要な呼びかけだと思います。
講演の後半では、これからの10年に向けて、何とどう取り組んでいくのか、8項目に整理して要諦が簡潔に示されていますが、とりわけ、インフラ建設はじめあらゆるプロジェクトで環境に配慮した「グリーン」を軸においていることは、時代の要求に応えるもので、世界の人々の共感を呼び起こすものだと考えます。
10年の歩みを経て、「質の高い発展の新たな段階」へということがすべてを貫いていて、「一帯一路」イニシアティブが確実に進化し、深められていること、人類運命共同体の実現に向けて着実な歩みを重ねていることを実感する習近平主席の基調演説だと受けとめました。
「人民中国インターネット版」2023年10月20日