日本の岸田文雄首相は4月中旬に訪米し、米日安保体制を強化し、ワシントンで米日比首脳会議を開いた。見落とされていたことだが、ドイツのショルツ首相が同じ時期に重慶市と上海市を訪問し北京で中国の首脳と会談した。日本と米国、ドイツと中国は世界トップ4のエコノミーで、混乱の最中に日本とドイツの首脳が異なる政治の選択をしたことは興味深い。台湾紙「工商時報」が伝えた。
岸田氏とショルツ氏の政治キャリアを見ると、日独両国が異なる経済モデル転換を迎えていることが分かる。岸田氏は世襲議員で、国会議員と外相を歴任。G7とのサミット外交をその施政の重点とする。
ショルツ氏は欧州第2のコンテナ港であるハンブルクの市長を歴任した。これにより港経済を重視する、市政のキャリアを持つ少数のドイツ首相になった。中国EU投資協定の最も重要な推進者はメルケル前首相で、現在のショルツ連立政権はこの重大な経済貿易政策の継続を検討していない。しかし中独全面的戦略協力パートナー関係10周年を記念し、ドイツの多くの経営者を率いて訪中した。ショルツ氏は経済の苦境に直面し、米国以外の新たな道を模索している。
米日安保体制の強化について、米国は自ら日本の軍需産業への規制を解除し、日本は半導体及び軍需という新興産業に「前向き」だ。ドイツの「今重視」の友好関係の強化は、割安な原油や中国EU投資協定がない現状において、最大の経済貿易パートナーと最重要の海外市場を訪問することで、自ら政治的な善意を示した。
独日首脳が迎えているのは、二極化する国内政治環境だ。支持率30%未満の岸田氏は今秋、自民党総裁と首相の職を辞する可能性がある。岸田氏が重視するのは歴史的な評価だ。
その一方でショルツ氏の政権運営は、ドイツの「赤青黄」の連立内閣の制限を受ける。核なき世界とネットゼロエミッションを求めるエネルギーモデル転換の政策はちょうど、ロシアとウクライナの衝突や中東情勢の変動を迎えている。経済発展のネックを解消するためには、内閣が力の限り積極的に行動する必要がある。これは中国大陸の訪問から始まる。6月の欧州議会選後、「グリーンな新政」の流れが止まり、移民に反対し目先の利益を考えるが右翼政党の台頭の時代的背景になることが、ドイツ連立内閣の眼前の厳しい政治的試練だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年4月29日