日本の上川陽子外相と木原稔防衛相、フィリピンのマナロ外相とテオドロ国防相は8日、フィリピンの首都マニラで日比外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開く。双方の軍隊の相互訪問及び合同演習を容易にする「円滑化協定(RAA)」に署名する見込み。日本の岸田文雄首相が昨年11月にフィリピンを訪問した際に、双方はRAAについて協議することで合意していた。RAAは、両国が相手国の領土に軍隊を相互派遣し訓練を実施するため法的基礎を固める。
これが署名されれば、現在の南中国海情勢と合わせて考えると、アジア太平洋全体の安全環境が潜在的な破壊的影響を迎えるかもしれない。署名されれば、それは日比両国の軍事協力が新たな段階に進む象徴となる。このやり方は地域の緊張情勢を激化させるだけでなく、日本が平和憲法の制限を持続的に突破し、軍事面の縛りを緩め、憲法改正の目標を完全に達成する可能性をもたらす。日本は米国のアジア太平洋における重要な同盟国として、米国主導の地域安全戦略に積極的に参加している。フィリピンは地理的な位置の特殊性により、米日のいわゆる「インド太平洋戦略」の実施の重要な一環になっている。日比の軍事協力の強化は、地域諸国間の軍事的対立を激化させ、地域の平和と安定に負の衝撃をもたらす。
(一)アジア太平洋の多国間協力メカニズムに衝撃をもたらす。アジア太平洋は排他的な小グループを作るのではなく、多国間メカニズム及び対話の場により交流することが多い。例えばASEAN地域フォーラムやアジア太平洋経済協力会議(APEC)などの多国間安全対話及び協力の場はいずれも、地域の安全と安定を守る重要な場だ。日比がRAAに署名すれば、これは二国間の軍事力強化の現れであり、地域内の多国間協力メカニズムの影響力と有効性を落とす可能性がある。この措置は間違った見本になり、各国に対して一方的な行動を促し、南中国海の地域諸国の摩擦と衝突を起こすリスクを拡大するかもしれない。
(二)南中国海の「安全の苦境」をさらに引き起こす。日比のいわゆる自身の安全保障のための措置は他国の安全を脅かす。両国の軍事協力は合同演習だけに限られず、情報共有や武器装備の相互支援なども含まれる。これらの協力方法の深化は必然的に地域諸国の不安を引き起こし、軍備及び防衛能力の建設を強化することで生じうる脅威に対応するよう迫る。米日比が持続的に掘り下げる緊密な協力、特に米日のフィリピンにおける軍事プレゼンスが、周辺諸国の警戒と懸念を招くことは間違いない。この流れは他国に対して、潜在的な安全の脅威に対応するため軍事力を強化するよう促し、「安全の苦境」に突き落とす可能性がある。
(三)中日関係の大局と中比関係の安定に影響を及ぼす。中国は終始、南中国海における領土主権及び海洋権益をしっかり守っている。中国の南中国海問題における立場が一貫していることも非常に明確で、外部環境からの影響により変化したことは一度もない。日比が緊密な軍事協力に向かうことで、中日及び中比間の信頼の赤字が拡大する。特に南中国海問題について日比が軍事協力を強化すれば、南中国海の係争をより複雑かつ敏感にすることは間違いなく、問題の平和的解決に不利だ。
現在の南中国海情勢は全体的に安定している。しかし一部の国は域外国を抱き込み度胸をつけ、恐れ知らずになっている。一部の域外国は対抗を煽り、南中国海で権利侵害及び挑発行為を続け、必然的に地域情勢のエスカレートを招く。アジア太平洋の安定は地域諸国の全体的な利益に関わるだけでなく、世界の平和と繁栄に対しても重要な意義を持つ。関連国は冷戦思考を捨て、協力とウィンウィンの地域安全秩序の構築に取り組むべきだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年7月10日