日本の岸田文雄首相は14日、今年9月の自民党総裁選への不出馬を表明した。これは岸田氏のこれまでの再任に向けた努力が予想の結果を得なかったことと、3年弱続いた岸田政権にまもなくピリオドが打たれることを意味する。「環球時報」が伝えた。
岸田氏の不出馬には内外の深い原因がある。国内を見ると主に次の通りだ。
(一)経済発展の成果が上がらなかった。新型コロナ、ロシアとウクライナの衝突、急激な円安などの影響を受け、世界でエネルギー価格が上がり日本国内の物価も高騰した。岸田政権の「新資本主義」政策の効果は予想に届かず、日本の2023年の名目GDPはドイツに抜かれ世界4位に落ちた。
(二)政治のスキャンダルが続発した。閣僚のスキャンダル、旧統一教会の問題、自民党の裏金疑惑などにより岸田内閣の改造が続き、岸田政権の不安定性と国民からの不信感が高まった。岸田氏は自ら率いる宏池会を解散したことで、自民党内の一定の支持勢力を失い、その他の政治勢力と駆け引きをする資本を失った。
(三)安保政策が軍事化に向かった。岸田政権は国内の保守勢力に迎合するため国家安保三文書を閣議決定し、「政府安全保障能力強化支援(OSA)」枠組みを構築し、平和憲法と防衛装備移転三原則の制限を突破した。安保の軍事化が日増しに濃厚になった。その防衛増税は国内の平和主義勢力から強い反発があった。岸田政権の支持率は過去半年で20%前後の「危険水域」で推移した。その施策は野党から猛批判を浴び、自民党内からも批判の声が上がった。
中国と戦略的互恵関係を包括的に推進することを再確認し、日韓の徴用工問題の緩和などで一定の成果を上げたが、岸田政権の外交政策は全体的に冷戦思考から脱却できず、対米外交の面で自主性の低さが深刻だった。
岸田政権の排他的で対抗的な外交政策は、アジア太平洋の安全構造のバランスを乱し、地域諸国間の安全の苦境を激化させ、中日関係及び日露関係の安定的な発展に厳しい挑戦をもたらした。その「スモールヤード・ハイフェンス」的な経済安保戦略は日本経済の回復と国民の生活水準の向上に影響し、また地域的な包括的経済連携(RCEP)協定などの地域経済・貿易協力メカニズムの奏効を妨げた。次期日本政府の外交政策は米大統領選の結果から直接的な影響を受けるだろうが、岸田政権と関連国の協力は制度的なそれまでの流れを保つことから、日本が短期間内にその外交政策を根本的に変えることはないだろう。
岸田氏は第二次大戦後の日本で任期が1000日を超えた8人目の首相だが、岸田政権の内政と外交政策には明確な戦略がなく、多くの厄介な問題については狭い範囲での修正に留めた。岸田氏の次の首相が国内と国際の大局を立脚点とし、経済繁栄と国民の生活水準向上を促進し、大国の競争の時代に自国の外交政策をしっかり調整できるか、もしくは日本の内政と外交がどこに向かうかについては今後の経過を見守る必要がある。(筆者=于海龍・中共中央党校(国家行政学院)国際戦略研究院学者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年8月15日