陳洋 遼寧大学日本研究センター客員研究員
習近平国家主席は現地時間15日午後、ペルーのリマで行われたアジア太平洋経済協力(APEC)の非公式首脳会議にあわせて、日本の石破茂首相と会談を行った。石破氏は首相就任後、中国の最高指導者と初めて会談した。これは今後一定期間の中日関係の動きに対して指導的意義を持つ。
まず今回の会談は、石破政権の対中関係の積極的なシグナルを発信した。石破政権発足後、石破氏本人や岩屋毅外相などの閣僚は、中日戦略的互恵関係を全面的に推進すると表明し、中国側とハイレベル往来及び各分野の対話・協力を進めることへの期待感を示した。石破氏は今回の会談で、「双方が日中戦略的互恵関係の全面的な推進、建設的で安定的な日中関係の構築に取り組むことは、地域及び世界にとって重要な意義がある」と述べた。石破政権は岸田政権の対中政策を全体的に引き継いだと言える。これは日本の対中政策が安定を保ち、極端な状況や大きな変化が生じないことと、中日関係の改善が続くことを意味する。
次に今回の会談は、中日首脳が毎年少なくとも1回は正式に会談(通話)するというメカニズムの運用が継続されたことを意味する。過去一定期間に渡り、日本政府が一連の消極的な対中措置を講じたことから中日関係が大きく後退し、両国首脳が二国間もしくは多国間の場で意思疎通・交流する「慣例」がストップしていた。岸田政権発足後、中日両国の首脳は毎年少なくとも1回会談(通話)するという計画を再開した。中日首脳は2021年10月に電話会談した。中日首脳は22年11月と23年11月のAPEC会期中に正式に会談した。24年5月と10月には第9回中日韓首脳会談及び東アジア協力関連首脳会議の会期中に会談した。今回の会談を控え、日本政府は石破氏がAPEC会議を利用し中国の最高指導者と会談することに大きな期待を寄せ、秋葉剛男国家安全保障局長を調整のため中国に派遣した。最終結果を見るとその期待通りとなり、中日首脳が毎年少なくとも1回正式に会談(通話)するというメカニズムの運用が継続された。
最後に今回の会談は、中日両国の実務協力深化の積極的なシグナルを発信した。一国主義と保護主義が近年、世界的に台頭している。特にトランプ氏が米大統領に再選され、日本を含む世界各国は経済グローバル化がかつてない逆流に直面することを懸念している。中日はアジアと世界の重要な国で、双方の実務協力深化には二国間を超越する重要な意義がある。中国側は今回の会談で、「双方は協力とウィンウィンを堅持し、世界自由貿易体制及び産業チェーン及びサプライチェーンの安定と円滑性を維持するべきだ」と強調し、日本側も「日本側は中国側とデカップリング・チェーン寸断するつもりはない」「日本側は中国とAPECなどの枠組み内で緊密に協力したい」と表明した。このような共通認識は双方が手を携え産業チェーン及びサプライチェーンの安定を維持する決意を反映し、また双方が多国間主義と世界自由貿易体制を共に守ることを示した。中日の実務協力深化は、双方に新たな発展チャンスをもたらすだけでなく、世界の繁栄と発展に新たな原動力を捧げる。
現在の国際・地域情勢は複雑に入り乱れており、中日関係は改善と発展の重要な時期を迎えている。「中日戦略的互恵関係の全面的推進」は近年、中日両国首脳の重要な共通認識になっている。日本側がこれに従い、中国側と共に歴史の大きな流れを把握し、中日の4つの政治文書が確立した原則と方向を堅持し、「新時代の要求に合った建設的で安定的な中日関係を構築」という目標に向かい弛まず努力することを願う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年11月20日