中国北京市で開かれた第2回中国国際サプライチェーン(供給網)促進博覧会では、スタンプを集める来場者の姿が見られた。日本企業6社のブースを回るスタンプラリーの賞品は2025年大阪・関西万博の入場券だった。
日本企業が積極的なPRを行った理由の一つに、大阪・関西万博と共通する環境保護や低炭素・省エネルギー、健康などに関する理念への賛同がある。日本貿易振興機構(ジェトロ)のブースでは、サプライチェーン博と大阪・関西万博の公式マスコット「鏈氪(リンキー)」と「ミャクミャク」が仲良く並んでいた。
サプライチェーン博では日本企業の出展が昨年の第1回に比べ倍増し、業種も広がった。ジェトロ北京事務所の草場歩副所長は、12社が単独で出展し、ジェトロが9社を取りまとめたと話した。前回は日用品や食品、介護用品を取り扱う企業が中心だったが、今回は自動車産業の変革を背景に、スマートカーに特化したエリアにブースを設置。中国のサプライチェーンに一層溶け込むことを目指し、日系自動車部品メーカーなどを集めた。
初出展企業のうち、産業ガス大手の岩谷産業は中国に多くの提携先を持つが、日本企業として中国の展示会に出展するのは初めてだった。大阪・関西万博では水素船を提供し、中之島から会場の夢洲(ゆめしま)まで来場者を運ぶ。
同じく初出展のサントリーグループは、バイオマスやサトウキビの搾りかすなどを原料とした100%植物由来素材のペットボトル開発技術を紹介。2030年までに全てのペットボトルをリサイクルする目標を掲げた。
パナソニックグループは、改革開放が始まった当初から中国に深く関わっており、世界事業の23%を中国事業が占める。博覧会では健康生活エリアに電動ケアベッドや折り畳み式シャワーチェアなどの介護用品を展示し、業界関係者だけでなく一般来場者にも注目された。
パナソニックホールディングスの本間哲朗副社長は博覧会のフォーラムで講演し、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「ネットゼロ」の実現に向け、「クリーンエネルギーに焦点を当てるだけでなく、快適性や健康、介護と組み合わせる必要がある」と語った。同社は暮らしの快適度を向上させ、健康に資するスマート居住空間、シルバー経済を支える方法を提案した。
2回目の出展となる日本通運のブースでは、貿易会社の代表らが中欧班列(中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車)について問い合わせる姿が見られた。戦略営業部の梁娜(りょう・な)科長は「わが社は日本の総合物流最大手で、陝西省西安市の『一帯一路』プロジェクトに参加した最初の国際物流企業の一社でもある。多様なモデルを組み合わせて世界中の顧客にサービスを提供している」と語った。大阪・関西万博で会場内の輸送を行う企業として、温室効果ガスの排出削減に向け、持続可能な航空燃料の開発と活用を推進している。
ジェトロの草場氏によると、同時開催された中国国際福祉博覧会にも日本企業約20社が出展した。草場氏の元には一部の企業代表から、中国が短期滞在ビザの免除措置を再開して以降、多くの日本人が出張や観光を目的とした渡航を検討しているとの声が届いているといい、「われわれにとって非常に良い兆しだ」と語った。
新華網日本語版 2024年12月7日