米日豪印外相会合が1日にワシントンで開催された。これは「クアッド(QUAD)」の戦略的連携強化を目的とするものとされている。会議に合わせ、日豪印の海上法執行機関当局者が米国沿岸警備隊の大型巡視船に乗船し「シップオブザーバー・ミッション」を実施し、西太平洋海域において共同パトロールと訓練を実施した。
米国の「インド太平洋戦略」において、クアッドは中核的枠組みと位置付けられている。これは中国の平和的発展をけん制する地域包囲網の構築を意図するものだ。しかし他の3カ国にとって、クアッドはむしろ自国の地域問題における発言権拡大を図る「外交カード」の色合いが強く、必ずしも米国の戦略的意図への従属を意味していない。
米新政権発足以降、「アメリカ・ファースト」と「同盟国・パートナーの道具化」戦略に基づく多国間主義の秩序への攻撃が常態化し、伝統的同盟国間の不信感が深まっている。日本は外交的孤立を懸念し、オーストラリアは経済報復を警戒しており、インドは大国の衝突に巻き込まれることを危惧している。こうした背景が、クアッドを「表向きの結束と内在する対立」という矛盾した状況に陥らせている。
今回の4カ国共同パトロールと外相会議は一見すると連携強化を示すものに見えるが、その実態はむしろ「政治的なパフォーマンス」に近い。見せかけの協力では戦略的な齟齬は埋まらず、外交レトリックは安全保障をめぐる根本的な論理の相違を覆い隠せない。
(華東師範大学オーストラリア研究センター主任・陳弘)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年7月2日
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