北京で開催中の第2回世界人型ロボット競技大会が、世界的に注目を集めている。中国の人型ロボットが100メートル走で8秒86を記録し、ジャマイカのウサイン・ボルト選手が保持していた人類男子100メートル世界記録9秒58を上回ったことで、世界のテクノロジー業界やメディアでは、中国製ロボットの圧倒的なスピードと産業競争力をめぐる議論が広がっている。一方、長年「ロボット大国」とされてきた日本にこの大会が与えた衝撃は小さくない。日本から唯一出場したGMOインターネットグループのチームでは、ロボットの「身体」は中国企業・宇樹科技(Unitree)が製造し、日本側は制御ソフトウェアのみを担当した。競技成績も振るわず、400メートル予選では10位で辛うじて通過したものの、準決勝では転倒して棄権。1500メートル決勝でもグループ3位にとどまった。「環球時報」が伝えた。
日本は長年、世界の産業用ロボット分野における重要な生産国・技術大国として発展を続けてきた。しかし、生成AIや大規模モデル、さらには「フィジカルAI」が急速に進展する中、人型ロボット競争の中心は「AIモデル+データ+計算資源+ソフトウェアエコシステム」という総合力へと移行している。日本は今回の「AI+人型ロボット」ブームの主役になれていないが、その出遅れには複数の要因がある。
まず、日本のAI基盤能力の整備が相対的に弱く、ロボット産業の高度知能化を制約している点が挙げられる。人型ロボットには、環境認識、視覚理解、自律的判断といった能力が求められるが、これらは大規模モデル、膨大なデータ、高性能な計算資源に大きく依存する。中国や米国と比較すると、日本は基盤モデル開発、生成AI応用、計算インフラ、ソフトウェアエコシステムの面で差がある。
次に、日本企業はリスク回避志向が強く、それがAI技術の迅速な商業化に影響を与えている。日本企業はロボット開発や応用において、十分に成熟・安定してから普及させる傾向があり、商業実装にも極めて慎重だ。しかし、人型ロボットのような高速で進化する分野では、安全性を過度に重視し失敗を避けすぎることが、技術の進化と市場形成の機会を逃す結果につながる。
さらに、日本のAI産業エコシステムには、人材不足、リスクマネー投資の不足、産業連携メカニズムの未成熟など、多くの課題が存在している。
世界的なAI競争が加速する中、日本は技術パラダイムの転換、産業構造の変化、国際競争環境の変動という複合的な挑戦に直面している。高市政権は、国家戦略の強化や国際協力、経済安全保障の枠組みを通じて、日本のAI競争力向上を図ろうとしているが、そこには多くの制約とリスクが存在する。日本は近年、米国とのAI協力を強化するだけでなく、欧州諸国、インド、韓国、その他の「価値観を共有する国々」とのAI協力ネットワーク構築も急ぎ、「AI主権」の推進を試みている。これは特定の国や企業への依存を減らす狙いがある。
しかし、外部の同盟によって内部の能力の不足を補おうとする道は、最終的には行き詰まるだろう。実際、AI産業競争の中核は同盟の規模ではなく、自国のイノベーション体系の構築にある。さらに注目すべきなのは、日本がAI発展を国家安全保障や地政学的競争と深く結びつけており、これが日本自身だけでなく周辺国にもさまざまなリスクをもたらしかねない点だ。高市政権は現在、AIや半導体などの戦略分野の発展を、国の「戦略的自立」「サプライチェーン安全保障」「国際競争力」の重要な切り札として位置づけている。その結果、科学技術の発展が過度に安全保障の論理に依存し、イノベーション資源が地政学的競争に傾斜し、市場需要や民生分野での応用が軽視される懸念がある。また、産業政策と安全保障戦略の深い融合は、日本の科学技術分野における「安全保障化」を加速させている。日本政府は国産AIを自衛隊の指揮統制システムへ導入する計画を進めており、その内容を年末改定予定の「国家安全保障戦略」など、いわゆる「安保3文書」に盛り込む方針だ。このような「安全保障の不安」によって科学技術発展を推進する発想は、産業発展に資するどころか、軍需産業の拡大や技術の軍事利用を助長し、地域の平和と安定に大きなリスクをもたらしかねない。(筆者・鄧美薇 中国社会科学院日本研究所副研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2026年8月26日
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