香港終審法院(最高裁)は13日、性転換手術を受けて男性から女性に変わったWさんが、香港の現行婚姻法に基づき男性との結婚届を受理されなかったことは違憲とした訴訟について、性転換者が新しい性別で結婚することを認める判決を下した。同時に、最高裁は、今回の判決の執行を12カ月猶予することとし、香港特別行政区政府(特区政府)に対し、法改正を検討するよう促した。人民日報海外版が報じた。
性転換者が、手術後の新しい性で結婚が認められたのは、香港では今回が初めて。訴えを起こしたWさん(37)は2005年から、何度に分けて、香港の某公立病院で性転換手術を行い、男性の恋人と結婚するため届けを出した。しかし、特区政府結婚登録機関は、出生証明書の性別が男性であることから、婚姻届の受理を拒絶した。
Wさんは、判決結果にとても喜び、「これで、彼と結婚することができます。自分がパイオニアとなり訴えを起こし、最高裁が下した判決は、性転換者に対する社会の差別を減らすことに、大きな作用を及ぼすでしょう」と語った。彼女は、特区政府が性転換者への差別撤廃に対する法的保障を確立し、性転換者であることを理由に雇用などで各種差別を受けることのない日が早く来るよう期待している。
最高裁の判決文によると、香港「婚姻条例」で使われている「女」および「女方」などの呼称は、「男性から女性に性転換した人」も含まれるべきとしている。また、香港「基本法」および「香港人権法案」は、結婚の権利を保護しており、「婚姻条例」がWさんのように男性から女性に性転換した人の結婚を禁止することは憲法違反であり、Wさんが男性と結婚することは可能、との見解が示された。
香港高等裁判所は2010年、Wさんの訴えを退けた。彼女はこの判決を不服として控訴したが、控訴審でも再び敗訴した。再びWさんは最高裁に上告、最高裁の審理は4月に結審、今月13日に判決が言い渡された。
「人民網日本語版」2013年5月14日