新卒者が殺到したある大型合同企業説明会 |
中国政府機関の統計によると、2013年、北京の新規大学卒業予定者(以下、新卒者)は、前年より9千人多い2万9千人に上り、うち5月1日の時点で就職先が決まっているのは33.6%にとどまっている。一方、ちょうど10年前、80年代生まれの第1軍が大学卒業を迎えた2003年の就職率は89.68%だった。では、90代生まれの第1陣となった今年の新卒者の就職をこれほど難しくしている要素は一体何なのだろう。その実態に迫った。北京青年報が報じた。
■人気の専攻学科も就職難しく
今年、新卒者や就職指導に当たる教師が口を揃えているのが、企業の新入社員募集枠が明らかに縮小していることだ。新卒者の人数が増加の一途をたどる一方、これまで急速な成長を遂げてきた経済の成長スピードには陰りが見え始め、新入社員の募集枠を縮小させる企業が増加しているのだ。大学生の就職指導に10年以上当たっている中国伝媒大学卒業生就業指導センターの林林・主任は、「今年、企業の募集枠が明らかに縮小しているというのをはっきり感じる」と指摘。「昨年と比べて、当大学に新入社員の募集の知らせをする企業は約15%減少した」としている。
■公務員国営企業以外は受け付けない大学生増加
企業の募集枠が継続的に縮小する一方、大学生の就職に対する期待は、高まるばかりだ。北京城市学院卒業生就業弁公室の付麗麗・主任は、「公務員や国営企業などでなければ就職しないというのが、今年の新卒者の明らかな動向。80年代生まれの学生がこれら『食いはぐれのない職業』に特に注意を向けていたと言うなら、90年代生まれの学生は、これらの職業以外は受け付けないという感じ。学生の就職に対する期待は、社会全体の雇用構造や職業の発展の見込みなどと密接な関係がある」と指摘する。
■高級団地でルームシェアが新卒者の主流
大学の寮を出なければならない日が近づくにつれ、就職先が未定で、北京からも離れたくないという新卒者は今、臨時の滞在先探しに躍起になっている。ただ、経済的なゆとりは全くないため、「ルームシェア」の道を選ぶ新卒者が少なくない。しかし、地方から北京に出てきて働き「北漂」と呼ばれているグループが10年前、比較的家賃が安い郊外に住居を求めたのに対し、今年は同市中心部の高級団地で、契約もなく、大人数で1つのトイレを共同使用しなければならない「ルームシェア」の道を選ぶ新卒者が多い。
北京駅南側にある、ガードマンを24時間配置している団地の1室で生活して半年になるという暁溪さんは、「家を探している時に、大学生ばかりが住んでいると聞かされた。でも、実際に入居して見ると、非常に複雑な環境だった」という。130平方メートルの部屋には寝室が3部屋、リビングが2部屋あり、そこになんと計40人が住んでいるというのだ。暁さんはそのうち、最も狭い寝室で暮らしており、10平方メートル(約6畳)にも満たないその部屋には鉄の2段ベッド3台と鉄の棚1台が置かれている。
一方、ある自身の家を貸し出しているという屠さんも取材に対して、「住んでいるのはみんな高学歴で教養のある大学卒業生ばかり。そのほとんどが新卒者」と語った。
「人民網日本語版」2013年5月28日