「タイム」誌は、政治的にみて日本は楽観できる状況にないことも指摘している。世界の大国としての地位は将来的に長く続かないだろう。同時に日本は周辺アジア諸国に対して懐疑の目を持ち、相容れない態度を持っている。そう考えると、「クールジャパン」という政策の意図も見えてくる。しかし、これは新しいコンセプトではない。早くも1990年代に流行した「クール・ブリタニカ」と同様の手法である。とはいえ、これは日本のソフトパワーを発展させていくための最初の一歩だ。2002年にアメリカのある記者が日本の「GNC(gross national cool)」を指摘し、記事は日本語にも翻訳された。このコンセプトが日本政府に伝わり、流行文化を世界に拡げることで日本のソフトパワーを強調したいと彼らは渇望するようになった。
「タイム」の記事によると、日本政府は日本文化を実際に拡げていくにあたって、あれこれ懸念し始めたと指摘する。外務省はドラえもんを「アニメ大使」に起用したが、日本で人気の高いこのアニメは英語圏諸国で放映されたことはない。1年後、日本は3名のミニスカートのメイド姿の女の子を「カワイイ大使」として世界各地に派遣した。2009年、元首相の麻生太郎氏は、国家アニメ博物館を作ろうと騒ぎ立てたが、翌年には計画が取り消された。
日本の経済や政治は、文化の発展に大きな貢献をしてきた。経済産業省メディア産業部の副部長は、「これはリスク投資のようなものだ。これまで日本文化は旧通産省の所管だった。当時、製造業の人々は知的財産権の意義と価値を真に理解していなかった。現在は新しいスタッフと新しい視野、そして経済的支持が整っている。2010年にスタートしたが、日本文化を使って日本製品を売るという目標を達成するまで、責任を持って担当する」とコメントしている。
経験豊富な日本のある映画人が、「タイム」誌の記者に対し、鋭い指摘をしたことがある。「政府のお金は、電通や博報堂といった広告会社に流れるだけで、本当にお金が必要なアーティストには一銭のお金も入ってこない」。この巨額資金は、日本のアーティストにとって何ら助けにならないのだ。彼らは、汗と血を流しながら金を稼ぐ。多くのアーティストは20代のとき、年収は1万ドルほど。そして世界一物価の高い街で生活している。日本のアーティストたちの支持がなければ、経済産業省が始めた「クールジャパン」が拡がるのは難しく、大きな反響も得られないに違いない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年7月14日