国連の調査機関は、福島第一原発の事故で緊急作業にあたっていた作業員が、被爆線量を約20%過小評価されていたという報告書を発表した。
共同通信の13日付けの報道によると、オーストリアの首都ウィーンに拠点を置く「原子放射線の影響に関する国連委員会」(UNSCAR)は、日本政府と東京電力は半減期が短い放射性物質の影響を考慮せず、濃度の測定結果を過小評価していた可能性があるとする報告書をホームページで公表した。
同報告によると、同委員会は福島原発の作業員約2万5千人の昨年10月までの被曝量の記録を分析。半減期が8日の放射性ヨウ素131に関しては、委員会の評価結果と東電が発表したデータは一致していた。しかし、東電は半減期が約20時間と短いのヨウ素133を考慮せず、作業員の被爆量を過小評価していた可能性があると指摘している。
放射性ヨウ素は甲状腺に蓄積しやすく、癌のリスクを高める。
東電は、放射能漏れにより甲状腺被ばくが100ミリシーベルトを超え、超音波検査を受ける必要があった作業員は今日までに約2千人いたとしている。
報告ではこの他に、12人の作業員の甲状腺からヨウ素131が検出され、体内の被爆線量が比較的高く、甲状腺癌やその他の甲状腺疾病を患うリスクが高くなっていると指摘している。また、体外被曝量が100ミリシーベルトを超える作業員は160人で、将来癌を患う可能性は高いが、増加幅は非常に小さいと推測している。
同委員会は、福島の原発周辺の住民が受けた放射性物質の影響は小さいが、依然研究が必要で、成人や児童への影響範囲、メカニズムとリスクおよび違いを明確にする必要があると指摘した。
2011年3月、日本の東北地方太平洋沖で起きたマグニチュード9.0の地震により、大津波が福島の原子力発電所を襲撃。全電源を喪失して原子炉を冷却できなくなり、炉心溶融(メルトダウン)が発生して大量の放射性物質が漏れ出した。事故の深刻さを表す評価は最悪のレベル7であった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年10月14日