売り場で二次元コード読み取り、自宅で発注
中国の消費者は今後、多くの店舗で「微信(スマホ用チャットアプリ)」を使って堂々と商品の二次元コードを読み取ることができるようになる。帰宅後にその商品を注文し、宅配便で商品が送られるのを待てば良いのだ。これまで、Eコマースへの顧客流出に警戒してきた実店舗の態度は、Eコマースの受け入れに向けひっそりと変わりつつある。「微信」は11月、「微購物(ミニショッピング)」サービスを正式にスタートする。年末までに、約200社のメーカーが参加する見込み。北京晨報が伝えた。
実店舗で気に入った洋服を試着したあと、品番や価格が表示されている商品タグを携帯で撮影し、帰宅後オンラインショップでその商品を購入する--このような買物のやり方は、すでに多くの要領の良い消費者に広く普及している。「デパートはただの試着室になり果てた」という言い方に対して、反論できる小売業者はいない。騰訊(テンセント)eビジネス運営部の侯艷平マネージャーは、「従来の小売業者にとって最も気がかりなのは、どれくらいの消費者が実際に商品を見ているのか、消費者が購入しない理由は何なのか、という点だ」と指摘した。「ミニショッピング」における商品の二次元コード読み取りを通して、小売業者は消費者が商品を実際に「見た」記録を得ることが可能となり、より的確で有効なマーケティング戦略を実施できる。また、消費者にとっても、さまざまな店で商品を見比べ、商品に関する特典情報を得て、より合理的な選択を行い、衝動買いを避けられるというメリットがある。
「ミニショッピング」が打ち出される以前に、テンセントeビジネス傘下の「微生活」は、飲食業界を対象としたメンバーカード「微生活会員カード」を発行した。このカードシステムは、飲食業界におけるデジタル化ユーザーを対象としたCRM(顧客管理)システムの実現に一役買い、ポイント累積や特典サービスの機能も盛り込まれた。テンセントeビジネスの宋暘・副総経理は、これについて、次の通り述べた。 近くスタートする「ミニショッピング」も、「微生活会員」システムの流れに続くものだ。商店の固定客維持を支援し、デジタル化ショッピングガイドと顧客サービス機能を提供する。微信の支払機能によって、注文から購入までのワンクリック操作が可能となる。今年10月の時点で、20以上のブランドと3千以上の店舗が微信ショッピング機能に加盟している。例えば、デンマークのファッションブランド・ジャック&ジョーンズの場合、全国約7千店でミニショッピングのPRが行われている。
注目すべきは、ブランド小売業者のほか、微信と提携するデパートがますます増えていることだ。天虹商場は9月12日、テンセント「微生活」とタイアップし、天虹アプリをリリースすると発表した。同アプリは、情報アップロード、カスタマイズ、実店舗会員の紐付けなどの機能を備え、小売形態のO2O(オンライン購買とオフライン購買との融合)へのモデルチェンジを市場に印象づけた。また、湖南友誼阿波羅商業(友阿)は今月10日付の公告で、テンセントと提携して微信のパブリック・プラットフォーム「友阿微購」を構築し、モバイル決済、情報の共有、実店舗会員の紐付け、オンライン顧客サービスなどを実現すると発表した。
小売業者とのタイアップ以外に、5億というユーザー数と支払機能を持つ微信は、家電通販サイト「易迅網」と提携し、オフライン市場にも食指を伸ばしている。屋外広告看板、エレベーター扉のスクリーン、さらには広告チラシにいたるまで、全てが「移動商品陳列棚」となり、易迅の商品の二次元コードが印刷されている。このように、微信によるショッピングはますます日常茶飯事になりつつある。店は客の要望に応じ、毎月または毎四半期ごとに、牛乳、歯磨きペースト、トイレットペーパーなどの日常生活用品を、素早く玄関先まで配送してくれる。
「人民網日本語版」2013年10月25日