高三のラストスパートの時期に入ると、勉強の密度が濃くなり、競争も激しくなる。テストは毎週行われるほかに、月間テスト、北京市の統一テスト、中間テスト、期末テストなどが頻繁に実施され、その成績表がまるで雪のように降り注ぎ、あたかも「神の声」のようにわれわれ両親の神経を刺激する。時には大いに興奮し、時には緊張のあまりいたたまれなくなる。
中国では受験生が一点でも多く取れるように、多くの家庭が勉強しやすい環境を整えるほかに、課外補習に通わせ、家庭教師を頼むケースが多く、そうした経済負担はばかにならない。わが家も例外ではなく、ここはケチらずに蓄えを使って、4科目の家庭教師を頼んでいる。各科目毎週1回で1回当たり500元(約7500円)から600元(約9000円)の出費だ。さらに、参考書や問題集など余計な支出は決して少ないとは言えない。
息子の1歳上のいとこは米国籍の中国人で、かつて完全に米国式の教育をする北京のインターナショナル・スクールで勉強した。息子の目から見ると、同じ北京にいたいとこは中学生の時から楽しく遊びながら勉強して米国の大学に入学できたように見えるらしい。一方、苦しい受験勉強を強いられ、青春時代を楽しむこともできず、息子にはそれが残念なようだ。最近、こうした受験戦争から逃げ出す道を選び、大学受験前に海外の高校に入学し、そこで直接大学に入る子どもたちもいるようだ。こうした現象は中国式受験地獄を逃れる新たな選択肢になり始めていることを物語っている。
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