○開発の難易度は高くない「幽霊探知」アプリ
国内ソフトウェア大手・東軟集団のシニア顧問を務める邢雷氏は、「幽霊探知機」アプリの設計原理について、次の通り説明した。
このからくりは極めてシンプルだ。ユーザーがアプリを起動させてカメラ機能をオンにすると、携帯のセンサーがユーザーの方位情報を確定する。その後、幽霊の方位が無作為に設定され、ユーザーがその方位に向くと、画面に「幽霊」の影が映るという訳だ。
「幽霊」の影は、フィルムを幾重にも重ねる技術が用いられている。開発者は、前もってさまざまな「幽霊」の影の画像を作り、ユーザーがカメラを開いた時、無作為にそれらの画像をどんどん重ねていく。以前流行したアート写真作成ソフトと同じようなものだ。「幽霊」を見つけると、機械音がそれを知らせると同時に、いくつかの情報が発信される。これは単に、リアルな恐怖感を高めるための演出効果だ。
アプリストアで調べてみると、「幽霊探知器」に類似したアプリが山ほどあった。ネット上でも同じような探知器が販売されていた。某ショップサイトで見ると、30軒あまりのオンラインショップでこの種の探知機が扱われており、最も高価なものは、スペシャリスト向け「竜尺探し+高級占い+幽霊探知機」で、価格は2800元(約4万6千円)もする。ただ、1カ月間の販売実績数は「ゼロ」と表示されていた。
○「アプリ」流行の背後に「負け組経済」効果
カラオケアプリ「唱吧」に始まり、カメラアプリ「魔漫相機」や価格比較アプリ「我査査」、さらには「幽霊探知器」にいたるまで、さまざまなアプリが、ある一定期間ごとに大流行してきた。東軟集団の邢氏は、「これらアプリの大ヒットの背景には、ユーザーが面白く遊べて好奇心を満たせるほか、社会の情報共有化と口コミが感染的に広がっていくバイラルマーケティングこそが人気を爆発させた主な要因となっている」と指摘した。
公式情報によると、「幽霊探知器」は2013年3月にアップルストアで販売が開始されたが、2014年2月にやっと人気が上がり始めた。これは、バイラルマーケティングのS字型曲線と一致する。
瀋陽工業大学マーケティング学部の趙巍教授は、次のような見方を示した。
「唱吧」や「魔漫相機」のような大衆向けアプリの流行の背後には、いわゆる「屌糸(負け組)経済」が潜んでいる。モバイル・ネットワークユーザーの中心は若者で、そこでは「高富帥(長身でリッチなイケメン)」は影を潜め、「屌糸(負け組:貧乏で不細工でモテない男性)」が主役になっている。「屌糸」は、簡単に安価で手に入る娯楽を求めており、価格や価格性能比にかなり敏感で、基本的にはアプリにお金を使いたくないと思っている。そして、皮肉なことに、彼らが最も広範かつ手堅いソフトの伝播力となっている。
「人民網日本語版」2014年3月3日