交信が途絶えた航空機をレーダーで捕捉できない理由について、国防科技大学電子科学・工学学院の邢世其博士は本紙記者に対して、「レーダーは電磁波信号を航空機に向けて発射し、その反射により位置を特定する。航空機が陸地に墜落したならば、イメージングレーダー技術により残骸の位置を特定できる。しかし今回の事故は海上で発生したため、航空機の残骸が水中に呑み込まれた場合、レーダーでの捜索は極めて困難になる」と説明した。
国防科技大学のレーダー研究の専門家は、「海水の導電性は電磁波にとって大きな障害で、海水を貫くことがほぼ不可能になる。またイメージングレーダーは真上から真下を見るのではなく、斜め下を観測するため、海底山脈や海溝がレーダー信号を途絶えさせることがあり、レーダーが迅速に事故の痕跡を捉えられなくなる」と指摘した。
海外メディアの報道によると、ベトナムは交信が途絶えた海域で油と思われるものが約20キロに渡り浮かんでいたと発表した。しかし同海域付近には、陸から離れた石油プラットフォームがある。
MH370便の航空燃料という可能性が絶たれた場合、交信が途絶えた海域での捜索作業は収穫を得られなる。その場合、イメージングレーダー技術が次の突破口になり、広大な海での捜索をより効率的にする。
上述した専門家は、「合成開口レーダー(SAR)を使用した場合、油の浮かぶ海域と油のない海域のイメージングには一定の差が生じる。航空機に事故があった場合、燃料漏れによる汚染物はこの手段により見つかるはずだ。また航空機の残骸などの漂着物も、この方法により正確に識別できる」と述べた。
航空機搭載SARの「レーダーの帯」は長くすることができるが、幅は数キロと限られている。しかし他にもSAR衛星を使い、現場海域の上から捜索を進めることが可能だ。専門家は、「SAR衛星の探知範囲は幅広く、その幅は数十から数百キロに達する。災害救助の面から、航空機搭載SARとSAR衛星の二つの手段を検討できる」と指摘した。