日本政府は5日、首都圏の高齢者激増に対応するため、高齢者の東京からの移住を奨励し、首都圏の医療・介護などの圧力を和らげると同時に、地方の経済発展を促進すると発表した。ジャパンタイムズ(電子版)が5日、伝えた。
政府が上述した政策を発表する以前に、多くの高齢者が生活費の重い負担により、首都圏からやむなく移住していた。
「時限爆弾」
首都圏の高齢者激増問題は「時限爆弾」のようなもので、政府が直ちに解決すべき問題の一つになっている。
日本政府が発表した予測によると、首都圏の75歳以上の高齢者は、今後10年間で175万人増加する。570万人にも達する高齢者は、すでに逼迫している医療資源にとって、さらなる重荷になる。13万人以上の高齢者が、福祉施設に入居できなくなる。
長期的に見ると、日本の高齢化問題は楽観できない。国立社会保障・人口問題研究所は、日本の人口は2060年に、現在の1億2700万人から約8674万人に減少すると予想した。そのうち4割弱が65歳以上になる。
日本の民間団体は先月、日本政府と地方自治体に対して、高齢者の地方移住を奨励する措置を講じるよう提案した。同団体は、富山市や鹿児島市など医療・介護資源に余裕のある41地域を、東京の高齢者の移住先にするよう主張した。
移住を余儀なくされる高齢者
日本政府が高齢者の地方移住の措置を発表する前から、多くの高齢者は生活費がかかる首都圏からの移住を余儀なくされていた。
品川区の77歳の高齢者も、その一人だ。彼は2年前に東京の繁華街から、遠く離れた福祉施設に入った。ここは東京の中心から、電車で2時間の距離だ。
この高齢者は東京で40年以上生活し、独身生活を続け、少ない年金で生計を立てていた。彼は平日、隣人と麻雀や映画鑑賞などで時間を潰していた。しかし大病により、生活に変化が訪れた。彼は東京の高齢者福祉施設に入ろうとしたが、「病状が深刻ではない」ことを理由に、受け入れられなかった。
この高齢者は最終的に東京を離れ、地方の福祉施設に入った。周囲には何もなく、遊ぶ所がない。「今や何の期待もなく、あきらめている。毎日食べて寝るだけだ」
高齢者追い出しが物議を醸す
政府が高齢者を首都圏から離れさせる政策を発表すると、一部の人はこれは「追い出し」であり、高齢者の権利侵害だと批判した。石破茂地方創世担当大臣は、「人を追い出す議論はしていない」と述べた。
東京大学の都市工学者の小泉秀樹氏は、「高齢者移住計画は、考えられているほど非合理的ではない」と述べた。小泉氏によると、これらの高齢者が東京から地方に移住すれば、地方の人口減を遅れさせ、多くの雇用機会を創出し、現地の経済成長を促せるという。
しかし小泉氏は、同計画の実施には難点が存在すると指摘した。例えば高齢者は慣れ親しんだ住宅街での生活を好み、家族と共に過ごそうとする。これは彼らが首都圏を離れたがらない重要な原因かもしれない。新華網が伝えた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年7月7日