複雑で多様性に満ちた言語というものをロボットに理解させるのは至難の業である。とはいうもののコンピューターやLSIの更なる技術発展や人々の言語学、音声学などに対する理解が深まるにつれ、ロボットに言葉を理解させることは一歩ずつ実現に向かっている。
「千夜一夜物語」のアリババと40人の盗賊という話の中に、“開けゴマ”という呪文が出てくる。この言葉は単にストーリーの上でのせりふであるだけでなく、当時の人々の願望を表したものだ。
さて現代。その“開けゴマ”は果たしてロボットに通じるのであろうか。答えはイエスだ。ただそれがそれほど簡単ではないことも確かである。
ロボットが人間の言葉を理解する上での困難には次のようなものがある。
ます発音。人によって発音は違うし、男女によって大きく異なる。性別が同じであっても発音が同じではない。仮に普通語(標準語)であっても、人によってなまりがある。さらに同じ人でも、その場の状況や気分によって、発音は異なってくる。風邪などをひけばなおさらだ。それらを聞き分けることはロボットにはとても難しい。
次に語彙量。人の言葉を理解するには、極めて多くの語彙量を必要とする。また語彙量が増えれば、同じ発音の言葉も出てくる。中国で豚の肝臓を意味する【猪肝】と竹ざおを意味する【竹竿】は声調は異なるがピンイン(ZHU GAN)が同じだ。「主人が竹竿を買って来いといったのに、下男が猪肝を買ってきた」という笑い話もある。人間でさえ間違えるのに、ロボットなら何をかいわんやである。加えてロボットには単語と文の区別、書面語と口語の違いも理解しておくことが求められる。
しかしこうした問題があるにもかかわらず、各方面の進歩によって、ロボットが人間の言葉を理解できる日は徐々に近づいてきていると思われる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年12月26日