中国人力資源・社会保障部の尹蔚民部長は、「定年退職年齢引き上げ案をすでに作成している。関連手続きに基づき報告し、批准を受けた後に公開し、社会から意見を求める。今年中に案を発表できるはずだ」と述べた。この情報を受け、人々は「定年引き上げが現実化する」とため息をついている。
中国青年報社会調査センターはポータルサイトの搜狐と協力し、アンケート調査を行った(有効回答数は16万9063人)。回答者の90.3%は、定年引き上げに関する情報に注目していると回答した。
山西省の公務員の徐志国さんは、「中国の現行の退職年齢は男性が60歳、女性幹部が55歳、女性労働者が50歳となっている。2022年から定年を引き上げるならば、先に影響を受けるのは1960・70年代生まれの人だ」と話した。
今回の調査結果によると、1960・70年代生まれの人が、定年引き上げに最も強く関心を示している。回答者のうち70年代生まれが38.7%、60年代が35.2%を占め、合計で73.9%に達した。80年代生まれは19%、その他の年齢層は7.1%。
回答者の91.1%は、定年引き上げに反対した。81.5%は、定年引き上げは全体的に見ると、政府機関・事業単位の職員に有利だと判断した。
多くの人は、若者の雇用機会が減ることを懸念している。回答者の88.1%は、定年引き上げにより若者の就職の圧力が拡大することを懸念した。
武漢大学社会保障研究センター長の鄧大松氏は、「中国の毎年の新規就業者数は1000万人前後で推移している。うち30%は、定年退職者を補完する形で生まれている。定年を引き上げた場合、雇用枠が減少し、多くの若者が労働市場に進出できなくなる」と指摘した。
中国労働学会副会長の蘇海南氏は、「中国の労働力は2012年から減少している。労働力が無限に供給される時代は終わった。大卒者の就職先、現行の規定により退職を控えている人の勤務先は異なっており、両者間に直接的な代替性はない。そのため定年引き上げで若者の就職に影響が出ることはない」と分析した。
中国社会科学院世界社会保障研究センター長の鄭秉文氏は、雇用率と失業率は、一国の定年退職年齢との間に、直接的な因果関係を持たないと判断した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年3月4日