中国科学院・深セン先進技術研究院の研究チームはこのほど、彼らの開発した新型アルミニウム―グラファイト2元イオン電池について「環境にやさしく低コストという特徴を備え、かつ従来のリチウムイオン電池の限界も克服。電子設備や電動自動車などの分野で幅広く実用化される可能性がある」と発表した。
ドイツの学術雑誌《先進エネルギー材料》に掲載された資料によると、同新型電池の材料には低コストで環境に害のないアルミニウムとグラファイトが用いられ、電解液は従来のリチウム塩と炭酸塩から作られている。従来のリチウムイオン電池と比べて、重量や体積、材料コストが大きく下がった一方で、エネルギー密度が大幅に高まっている。
全世界の電池需要は、電子製品や電動自動車産業から引き合いを中心に、急速に増え続けている。アメリカの調査機関フリドーニアグループの統計によると、今後全世界の電池需要は毎年7.7%の成長が見込まれ、2020年までに市場規模が1200億ドルに達する見込みだ。
現在市場の主流はリチウムイオン電池だが、電極の中にニッケルやコバルトなどの重金属元素が含まれているため、使用済みの電池が重金属汚染を引き起こす。またリチウム電池の開発は出力重量比(放電能力/重量)やエネルギー密度などの点で技術面でのボトルネックに面している。
研究グループを率いた唐永炳研究員は「新型電池の製造コストは、従来のリチウム電池の半分以下に抑えることが可能で、出力重量比はリチウム電池の1.3~2.0倍、エネルギー密度を1.6~2.8倍まで高められる。その優位性は極めて高い」とし、「新型電池の応用範囲は電子製品から電動自動車まで幅広く、商業生産が始まればそれらの製品の性能は一段と向上する」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年4月2日
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