動物保護の朗報は常に歓迎される。これが最も魅力的なパンダと関連しているならば、なおさらだ。国際自然保護連合(IUCN、政府・非政府組織の紐帯である環境保護組織)は5日、パンダの「絶滅危惧種」指定を解除し、「危急種」に引き下げたと発表した。英エコノミスト誌が10日伝えた。
パンダが「絶滅危惧種」から「危急種」に
中国はこの30年間で、パンダの繁殖促進に尽力してきた。しかしその取り組みの多くは檻の中のパンダに対してであった。環境保護関係者の决定は、野生のパンダの生存状況と関連している。政府の調査によると、2013年のパンダ頭数統計データのうち、野生のパンダの数は1988年の1114頭から1864頭に増加した。これは檻の中のパンダの5倍だ。
野生のパンダの増加は、その居住環境(中国南西部の竹林)の改善を反映している。中国には67ヶ所のパンダ保護区があり、パンダの活動範囲の約半分をカバーしている。野生のパンダの3分の2は、これらの保護区で生活している。
その結果、中国は野生のパンダと、頻繁にカメラの前に姿を見せる檻の中のパンダを持っている。両者の数は、いずれも増加している。数は少ないが、檻の中のパンダの方が繁殖能力が高い。野生のパンダの数は2003−13年に268頭増え、約17%の伸び率となった。檻の中のパンダは164頭から375頭と2倍以上になった。パンダは繁殖能力が低いことで知られているが、繁殖問題の多くが人類の無知によるものだった。パンダの生理的特徴と行為に対する理解の深まりにより、出生率が向上した。
不幸にも、これは野生のパンダにとって役に立たない。檻の中のパンダ繁殖計画の目標は、自然に帰らせることだ。檻の中で生まれたパンダは2年間の訓練により、食べ物の見つけ方、人類への警戒心を身につける。しかし長年の努力にも関わらず、自然に帰ったパンダは5頭のみで、うち2頭が死んでいる。今年の冬にはさらに2頭が自然に放たれる予定だ。
この状況下、中国政府がIUCNの决定を喜ぶと予想されていたが、政府は自制を維持している。国家林業局は批判に近い意見を出した。林業局は、パンダは屋外の33ヶ所で分割されており、うち小規模な群れは10頭以下で、18の群れが「高度絶滅リスク」にさらされているとした。また生息地の分断化の影響により、これらの群れが孤立しており、地域内の遺伝子交流が制限され、病気にかかりやすくなっている。専門家は、今後80年間の気候変動により、パンダの生存に必要な竹林の3分の1が失われる可能性があると述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年9月18日