「何度も死のうと考えた。菌扱いされた」福島県出身の中学生は、ノートにそう記す。彼の境遇は原発事故に福島県から避難した生徒の、日本におけるいじめの縮図だ。この問題は政府から重視されていなかったが、生徒が真相を暴露すると政府および社会全体から重視されるようになった。
朝日新聞の統計データによると、福島から避難してきた住民の3分の2が差別を受けている。これには生徒も含まれる。原発事故により差別されいじめられた生徒数のデータを取るのは難しい。立ち上がり声を出そうとする生徒が少ないからだ。しかし被災者の権利を守る団体の責任者によると、生徒の過半数がさまざまな差別といじめを受けているという。
日本テレビの報道によると、東京都千代田区の小学校には、福島からの転校生3人がいる。彼らは2011−15年に渡り、いじめを受け続けた。いじめを行った生徒は机や椅子に近づけようとせず、「菌」と罵り、「あの世」に逝かせると口にした。これらの問題は彼らが中学校を卒業する時になり、ようやく発覚した。
NHKの9日の報道によると、ある福島県の生徒が横浜に転校すると、精神的な虐待を受け続けた。ある生徒は「4階から飛び降りろ」と脅迫し、さらには「フクイチ」とあだ名をつけた。福島県出身のため、ある生徒は政府から補助金を受け取っていると考え、遊ぶため金を脅迫した。その金額は計150万円にのぼる。生徒の両親は「子供は毎日恐怖の中で暮らしており、夢の中でも泣いてばかりだ」と話す。それからある保護者は、福島県出身の娘は、大人になっても結婚できないことを懸念している。「相手側は、女性たちが子供を産めるだろうかと考えるだろう」と、ある福島県の女性は語る。
法政大学の尾木直樹教授は「福島の子供たちと若者は、未曾有の苦難に陥っている。このような人をいじめるとは実に痛ましい」と述べた。いじめが続々と発覚すると、政府も対策を講じ始めた。ロイター通信によると、政府は学校や教職員に対して先月、原発事故が生徒に及ぼす生理的・心理的な傷について理解し、いじめに注目することで、これらの生徒をより良く保護するよう指導した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年3月13日