「グローバル化していく中、中国はより多くのグローバルスタンダード制定やグローバルガバナンスへ関与が求められる。留学から帰国した人材はこの過程で大きな作用を発揮することができる」。8月12日に開催された「第12回中国留学人材創新創業フォーラムおよび欧米ホームカミング北京フォーラム」で、中国人民銀行のシニアエコノミストである馬駿氏がそう述べた。
エコノミストの観点から馬氏は、少なくとも3つの分野でグローバル化に関わることができると述べる。第1に企業の分野。たとえば輸出入貿易や対外投資もグローバル化しており、中国に投資する国際企業の仕事もグローバル化している。第2に国際機構。金融分野では世界銀行、IMF、AIIBなどがあり、そこでの仕事は基本的にグローバルスタンダードである。第3にグローバルスタンダードの制定の推進。主に政府関連となるが、そこでは様々な議題が山積し、多くのスタンダードが形成されていない。各国がグローバルスタンダード制定のための人材を集め、共に議論していく必要がある。
現在の中国の発展状況を踏まえ、グローバルスタンダードの制定に関わる人材に求められる現実的なニーズについて馬氏は、4つの能力を挙げる。 まず議題を提起する能力である。提起される議題は多くの国が納得できるのであり、しかも議題提起後には解決するための基本的な構想が求められる。さらにその解決策もまた、多くの国が納得できるものでなくてはならない。
第2に共通認識形成のための議論ができること。国によっては必ずしもはっきりとした考えを持たない場合がある。議題が提出される過程において、議題の意義が曖昧になりがちだ。そのため議論をリードし、積極的に意義を伝えていかなければならない。
第3に臨時的に組織のリーダーを務める能力があること。第4に政治的な誓いを言葉で表す能力があること。国によって求めるものは異なる。一言のために80人のグループが3時間討論し、5本から10本のバージョンを作る。しかし最後に選ばれるのは、全員が共通認識に達したものである。
留学を終えて帰国した人材は、中国がグローバルガバナンスに関わる過程において推進していく力を持つ。馬駿氏は、これら人材は言語能力や専門能力、国際人脈などで十分な経験を持っており、中国がグローバルガバナンスに関わる手助けができ、グローバルスタンダード制定の推進に大きな作用を発揮すると考えている。
中国共産党第十八回全国代表大会以降、新中国成立以来で最大規模の留学人材帰国ブームが起きている。2016年、中国の出国留学生は54万人を超え、2012年より14.49万人増加している。増加幅は36.26%。帰国留学生は43.25万人で、2012年より15.96万人増加している。増加幅は58.48%。1978年から2016年末までに、中国の各種出国留学生は累計458.66万人。うち265.11万人は学業を終えてから帰国する道を選んでいる。学業を終えた留学生の数は8割近くを占める。帰国留学生と出国留学生の数の差は徐々に縮小しており、帰国留学生は国家発展の大きな力になっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年8月20日