昨年末、中国の無人運転地下鉄の運用が香港特区で開始された。だが中国工程院院士で中国科学技術協会副主席、中国鉄路総公司(中鉄総)総経理特別技術顧問の何華武氏によると、中国はすでに、無人運転高速列車の試験・験証に着手している。
何氏は10月26日、「第14回中国国際現代化鉄道技術設備展覧会」でメディアに対し、「中国の高速鉄道はすでに世界の先端レベルに達している。中国の標準動車組(動力分散式列車)『復興号』は独自の知的財産権を備え、重要規格の84%が中国規格だ。次の高速鉄道では無人運転が実現されることになる」と語った。
何氏によると、中国の無人運転高速列車はすでに試験・検証段階にあり、北京から張家口までの区間で試験・検証を行っている。北京冬季オリンピック・パラリンピック(2022年)には世界に向けて登場する見込みだ。
中国の作った無人運転地下鉄はすでに運用が始まっている。2016年12月、香港鉄路有限公司の南港島線が開通した。中国中車長春軌道客車股フン公司が独自に開発・製造した地下鉄車両が採用された。この車両は、中国で初めて正式に運用されたGoA4(Grades of Automation 4、鉄道自動運転レベル)の全自動無人運転地下鉄車両で、列車は独自の完全な知的財産権を持つ。自動でのスリープモード解除、運行、故障診断、車両洗浄など、真の自動制御が実現された。最大の特徴は運転室がないことで、列車の両端に開かれた空間ができた。
公開資料によると、国産無人運転地下鉄技術は、現在建設中の北京燕房線などほかの地下鉄路線にも応用される。中国中車青島四方機車車輛有限公司が製造した無人運転列車はすでにシンガポールに輸出されている。
地下鉄の無人運転と比べると、高速鉄道の無人運転は、環境がより複雑で、距離がより長く、天候状況も予測が不能だ。何華武氏はこの点について、中国の無人運転高速鉄道は、「無人運転、有人監視」のモデルを取り、これまで人間が中心だった制御モデルを機械を中心としたものに替え、安全性や定時性はより高まると答えた。
鉄道の無人運転技術は、中国とオーストラリアですでに応用されている。今年6月、中国鉄路通信信号股フン有限公司が建設に参加した国内初の自動運転都市間鉄道「莞恵城際」(広東省東莞市-恵州市)が全線開通した。列車の運行制御システムは、同社が都市間鉄道向けに特別にデザインした「高速鉄道+地下鉄」の列車制御システムを取り、動車組を最高時速200kmで自動運転させ、正確に停車することができる。また今年10月には、英国に本社のあるリオティントグループが、同社の開発した最初の全自動無人運転列車がオーストラリアで初の無人運転任務を完了し、100km近くの無人運転を実現したと発表した。
フランスも、無人運転高速鉄道の開発を始めている。高速鉄道の本数を増やし、人的コストを減らすねらいだ。フランスメディアの今年6月の報道によると、フランス国有鉄道(SNCF)の運営する高速鉄道TGVは、2019年に無人運転列車の試験を開始する見通し。これらの列車には障害物を感知するセンサーが配備され、危険を即時に察知・判断し、緊急停止することができる。試験期間は列車に運転手を乗せて突発状況に備える。SNCFは、2023年までに無人運転高速鉄道の運用を始める計画だ。
何華武氏は、中国の無人運転高速鉄道の具体的な日程は明らかにしていないが、中国の鉄道の今後の発展は、「より安全、より経済的、より効率的、より環境保護、より緑色、持続可能」なものとなると語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年11月1日