「加熱装置」の気温上昇、アフリカの降水に影響か
チベット高原は中国の異常気象に影響を及ぼす重要な地域の一つだ。中国気象科学研究院副院長の趙平研究員は、科技日報の記者に「対流圏中層に伸びる加熱装置のようなもので、その気温が上がると大気に送り込む熱量が増え、大気の還流により大きな影響を生む。高原の熱源環境により東アジアの冬の風が弱まり、低層の南寄りの気流が強まり、大気の安定性もそれに伴い強化される。これは中国の中部・東部の冬の煙霧多発を促す」と述べ、次のように指摘した。
春が暑いと夏の長江流域の降水量が増え、華南・華北・東北の降水量が減少する。研究によると、春のチベット高原の地表熱は、その後の夏の中国中部・東部の降水と大きく関連する。このシグナルを利用することで、中国の夏の降水に対する予報能力を高めることができる。
チベット高原の異常な高温はアジア・大西洋振動の北半球中緯度遠隔相関のように、南アジアや東アジア、さらにはアフリカや北米の中緯度地域の気温・降水の異常を引き起こしうる。夏の高原が暑くなると、上昇気流が強まり、西の地中海付近に沈む。さらにアフリカの上昇気流の異常を引き起こし、アフリカ大陸の低気圧を強める。これに伴い低層の大西洋東部からアフリカ大陸への西風が強まり、アフリカの降水に影響が生じる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年9月8日