ILOは、「2016~17年、アジアと太平洋地域の実質賃金の増加幅は全地域の中で最も大きい。これはアジアと太平洋地域がその他の地域より経済成長が速いことを示し、中国、インド、タイ、ベトナムなどの国が上位につける」とした。
中国の巨大な人口と急速な賃金増加が世界の平均水準に影響を与えている点に注目したい。中国を除いた場合、世界の実質賃金の増加幅は2016年の1.8%から17年には1.1%に低下する。
クレディ・スイスは、今世紀中頃にアジアの進行経済圏の世界経済寄与度は55%になると予想する。2008年の金融危機からの10年を見ると、多くの年において中国の世界賃金増加への寄与度は約半分となっている。
また『報告』は、多くの低・中所得の経済圏で賃金の差が依然として大きく、労働者及びその家庭の生活ニーズを満たせないケースも多いと指摘した。
男女で賃金に大きな差
『報告』によると、世界の女性の平均賃金は男性より約20%低い。
ILOは、富裕国において、男女間の賃金の差は主に高所得階層で見られると指摘。一方、低・中所得国では、賃金の低い労働者で見られる。
ILOの計量経済学者・賃金専門家のロザリア・バスケス・アルバレズ氏は、多くの国において、女性の教育レベルは男性より高いが賃金は低く、同じ職業でもそのような状況だと話す。
またアルバレズ氏は、「女性の労働力が主導的地位を占める企業や職業でも、女性の賃金は低い」と述べ、男女間の賃金の差を縮めるため、男女同一賃金の維持を強調し、女性の労働の価値が低く評価されている問題を解決する必要があるとの見解を示した。
そのほか、「母親」という立場も賃金の差に影響している。
『報告』によると、子供を持たない女性と比べて、母親である女性の賃金は低い。これは勤労の中断、作業時間の減少、賃金が低くても家庭に有利な仕事に就くなど多くの要因と関係していると見られる。
ガイ・ライダー氏は、「男女間の賃金の差から言えば、出産は女性に不利で、子供ができると賃金の差が拡大する。これは客観的な原因の1つ」と話した。
『報告』は、多くの状況において、男女が家庭の責任をより公平に分担すれば、女性は違う職業を選択できるとした。
ライダー氏は、男女間の賃金格差は社会不公平の最大の表れの1つで、すべての国がその原因の理解に努め、男女平等を早急に実現すべきだとの見解を示した。
また、「明確な賃金格差があれば、法の枠組みを整備する必要がある。その中で最も有効的な方法は透明性を高め、企業の賃金差の公開を法で定めること」アドバイスした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年12月12日