第43回世界遺産委員会にて、中国黄海(渤海)渡り鳥生息地(第1期)が、中国で54カ所目の世界遺産に登録された。中国の沿岸湿地遺産の空白を補った。
登録成功の裏には、江蘇省塩城市の長年に渡る厳格な湿地保護がある。農地を湿地に戻し、漁業をやめ湿地を戻し、沿岸部で埋め立てを停止し、生態補償を行う。湿地を守る生態文明の理念が人々の心に深く根ざしている。
江蘇塩城湿地珍禽国家級自然保護区の陳浩副主任は記者に、「東アジアから豪州に到る渡り鳥の移動ルートにおける重要な地域として、ここは渡り鳥に食料を提供するサービスエリアのようになっている。渡り鳥はここで換羽し、越冬し、食料を探し、繁殖する。毎年春・秋になると保護区を300万羽以上の渡り鳥が通過し、100万羽弱が保護区内で冬を越す」と説明した。
保護区中心エリアでは、物理的なフェンスを設置し、物理的に距離を隔てる河道を建設するといった保護措置のほか、監視カメラによる24時間の監視、ドローンによる海からの監視が行われている。保護区付近の風力発電所が渡り鳥を妨げることを防止するため、保護区は鳥類観測レーダーを設置した。
渡り鳥は種類が多く、移動ルートが変化する。これは地域の生態環境を調べる自然の指標だ。黄海湿地は世界自然保護基金のレッドリストに入っている17種の生存を支える、世界的に珍しい渡り鳥のヘラシギやカラフトアオアシシギの生存地になっている。また中国のタンチョウヅルにとって最大の越冬地になっている。
イギリス鳥類保護協会のニコラ・クロックフォード氏は長年、ヘラシギのバッジを使用している。彼女は第43回世界遺産委員会にて、中国、とくに塩城の鳥類保護に心から感謝した。「彼らがこれまで湿地保護で見せた長期的な視野、志、約束は驚くべきもので、及びもつかない」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年7月11日