鶏と卵はどっちが先? 6億年前の化石が謎を解明か

鶏と卵はどっちが先? 6億年前の化石が謎を解明か。

タグ:籠脊球 化石 貴州省甕安生物群

発信時間:2019-12-05 15:20:38 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 動物がいつ、いかにして生まれたかについて、人々は好奇心を抱いている。先に鶏が現れたのか、それとも先に卵が現れたのかも、常に諸説紛々たる興味深い話題だ。


 中国科学院南京地質古生物研究所はこのほど、ある研究成果を発表した。同研究所の殷宗軍副研究員と朱茂炎研究員は、英ブリストル大学、スウェーデン自然史博物館、Swiss Light Sourceの同業者と協力し、貴州省甕安生物群、すなわち今から6億1000万年前の特異埋蔵化石バンクの中から、「籠脊球」と呼ばれる化石を発見した。


 この生物形態の研究と観察により、彼らは原始「胚発生」の過程を再現した。殷氏は「動物を鶏に例えるならば、この化石は卵から鶏が孵化する過程を記録している。籠脊球化石はこの問題に答えを与える重要な手がかりを提供した」と述べた。この成果は先ほど、セルの姉妹誌『Current Biology』(電子版)で発表された。


 燐鉱から砂粒サイズの化石を発見


 現代動物界には30以上の動物の種類があるが、これらが今から約7億年前の共通の祖先を持つことが研究によって証明されている。この共通の祖先は多細胞を持ち、細胞には機能分化があった。これはより古い単細胞の祖先から進化したものだ。ところが動物の単細胞の祖先はいつ、いかにして多細胞の祖先に進化したのだろうか。この問題については確かな答えがなかった。


 甕安生物群は2000年頃、世界の学術界において、動物の起源及び早期発育の研究の焦点になった。


 貴州省甕安県は豊富な燐鉱資源により、「アジアの燐倉庫」と呼ばれる。古い燐鉱石の中には、世界で最も古い動物の化石が埋蔵されている。科学者は甕安県の燐鉱採掘エリアのエディアカランの地層から、大量の動物の化石(今から約6億1000万年前)を発見した。これは動物の起源及び早期の進化の過程を研究するため、唯一無二の実証記録を提供した。


 殷氏が所属するチームは、世界で最も早く同分野に進出した研究チームの一つだ。


 科学者は詳細な発掘・採集により、その中から砂粒サイズの化石を発見した。直径は1ミリ未満で、肉眼での発見は困難だった。その「外観」は極めて不規則的かつ奇妙であることから、多くの人はこれが化石ではないのではと疑った。そのため長期的に科学者から見落とされていた。


 殷氏は「化石のこの2種類の岩石における存在形式は、いずれもリン酸塩化された三次元立体標本で、美しい細胞及び細胞レベル以下の構造を留めている。これらの化石は保存状態が非常に良好で、受精卵の細胞の分裂過程も留めている」と述べた。


 「卵から鶏が孵る」過程、動物の起源の謎を解明か


 10数年の収集と研究により、殷氏のチームは甕安生物群から233個の籠脊球化石の標本を発見した。


 これらは単細胞動物から多細胞動物への過渡の各形態を示している。ビッグデータ分析により、科学者は進化の法則を見いだした。スキャン効果図によると、この化石は内部空洞の「籠型」から、中身を持つ球体に至る各段階の「胚発生」の過程を示した。


 殷氏は「我々は数百の籠脊球の標本の立体構造を再構築し、これが母体栄養物質が満ちた壁の厚い袋の中で発育することが分かった。籠脊球の発育の過程は、動物の単細胞の近親(変形菌など)に非常に似ているが、胚発生の過程において規則的な細胞移行及び再構築を示す点がより複雑だ」と説明した。


 多細胞動物の登場は、地球の生命の歴史における、極めて重要な節目となる出来事だ。生物の多細胞化後に初めて細胞の分化行為が生じた。分化した細胞は最終的に、各種器官・組織になった。


 籠脊球の細胞移行及び再構築は、動物の原腸胚のそれと非常に似ている。原腸胚は動物の胚発生の重要段階で、原腸胚の段階を踏まえることで、分化した細胞が器官と組織を作り、最終的に一つの動物に成長することができる。


 これは動物の胚に特有の発育メカニズムが、動物の化石が大量に出現する少なくとも4000万年以上前から準備を整えていたことを意味する。そのため科学研究者は籠脊球を「干群動物」と呼んでいる。これは最古の幹細胞動物よりも古い動物ということだ。


 殷氏は「動物がいかに進化したかをはっきりさせるためには、細胞分化の過程を理解しなければならない。籠脊球化石は動物が単細胞の祖先から多細胞の祖先に進化した重要な一歩を記録している。これは細胞及び組織の分化を持つ動物の登場に向け、生物学的な基礎を固めた。より整った進化の過程は、より多くの化石の証拠によって証明しなければならない」と述べた。


 それでは先に現れたのは鶏なのだろうか、それとも卵なのだろうか。


 殷氏は「動物を鶏に例えるならば、複雑な胚発生の過程は卵の孵化に相当する。これは動物の単細胞の祖先と多細胞の祖先の間の橋渡しをした。籠脊球化石の発見は、動物という鶏を生み出した卵が、6億1000万年前に登場していたことを証明した」と話した。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年12月5日

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