企業家が協力し1日で物資を調達
26歳のイスラエル人青年企業家ラズさんは同書の共著者で、今回の物資調達の発起人でもある。
ラズさんは13歳の時に香港に引っ越し、後に北京大学を卒業し、「在中外国人2.0」を自称する。2017年、彼は友人と北京・中関村で外国人研究協会を設立した。中国版ツイッターの微博や動画サイト「ビリビリ」などのプラットフォームで動画を発表し、中国在住の若い外国人の目で中外文化交流に独特の視点をもたらし、中国での経験や中国への認識を分かち合った。同協会は中国で生活する若い外国人のためにプラットフォームを構築しただけでなく、中国内外の数多くのフォロワーを引き寄せた。
1月25日に動画を制作して武漢を応援するラズ・ガローさん(右)とブライアン・オシェイさん(新星出版社提供)
ブライアンさんはアルゼンチン人で、グルメを通じて中国と関わるようになった。彼も外国人研究協会メンバーだ。
春節(旧正月)期間中、もともとイスラエルで休暇を過ごしていた2人は、中国で新型コロナウイルスの感染が起きていると知り、湖北省の感染地域内の病院のために医療物資を調達することを決めた。自分たちがどのように1月25日の1日間で1トンの医療物資を緊急調達し、14日以内に湖北省黄岡に輸送したかという全過程を彼らは動画で記録した。
医療物資の調達中に受けた最大の支援はラズさんの父アミール・ガローさんによるものだった。アミールさんは中国で20年以上暮らし、現在は中国イスラエル商会名誉主席を務めている。17年度には中国政府から「友誼賞」を授与された。友誼賞は中国の現代化建設と改革開放事業で際立った貢献を果たした外国人専門家を表彰するために中国政府が設立した最高賞だ。
ラズさんとブライアンさんの2人が市場で数千枚のマスクを調達できただけだと知り、アミールさんは1月25日に中国イスラエル商会理事会を開催し、できる限りの援助を提供するようその場のイスラエルの企業家に呼び掛けた。彼らの助けの下、ラズさんらはこの日のうちに10万枚以上の医療用マスク、5万組の医療用手袋、7000着の手術衣を調達した。
アミールさんは次のように強調する。「中国は歴史上、イスラエル人の苦境を何度も救っています。特に第2次世界大戦で中国人は多くのユダヤ人がナチスの迫害を免れるよう助けてくれました。今、中国が困難を乗り越えるのを私たちも助けなければいけません。当然のこととして、私たちはできる限りの援助を提供します。何の問題もありませんし、今後も継続します」
特殊な時期に損得を問題にせず、各種の困難を克服するという両国企業家の無私の協力が、調達の全過程に現れている。中国イスラエル商会のクレイマン代表は「私たちは中国での生活で困難にぶつかった時、何度も中国人に助けられました。今回は私たちが中国を支えます」と話した。テルアビブ医療センターのロニ・ガンズ最高経営責任者(CEO)は「私たちが助けられることでさえあれば、マスクでも設備でも提供できる」と述べた。
調達、交渉、空輸であれ、契約締結であれ、疫病の蔓延によって物資輸送の各段階は試練に満ちていた。電子商取引大手アリババグループの天猫国際(Tモールグローバル)と菜鳥(ツァイニャオ)は物流と通関の過程でも全力で協力した。これにより、イスラエルからの物資は最高のスピードで湖北省黄岡に到着した。