浙江大学医学院の郭国驥教授のチームが自主開発した分析プラットフォームは、胚と成年という2つの時期を跨ぎ8大システムをカバーするヒト細胞マップを作成した。この成果は26日、『ネイチャー』(電子版)に掲載された。
細胞は生命の基本単位だ。かつて科学者は主に顕微鏡や流量分析などの技術を利用し、若干の表現型の特徴を利用し自然界の各種の細胞の分類・鑑定を行っていた。単細胞シーケンス技術の搭乗は、この伝統的な細胞認識体制に革命的な変化をもたらした。
郭氏のチームはマイクロプレート高スループット単細胞分析プラットフォームを自主的に研究開発し、かつ2018年に『セル』にマウス細胞マップを掲載した。郭氏のチームはその後、浙江大学医学院の各付属病院のチームと共にこの分野の取り組みを続けた。
研究チームは60種の人体組織サンプル及び7種の細胞培養サンプルの高スループット単細胞シーケンス解析を行った。胚と成年という2つの時期を跨ぎ8大システムをカバーするヒト細胞マップを系統的に作成した。70万個以上の単細胞のトランスクリプトームデータバンクを構築し、人体の大分類100種以上・小分類800種以上の細胞を鑑定した。単細胞比較対象システムを開発し、ヒト細胞青写真サイトを作成した。
郭氏は「この取り組みを一言でいうならば、ヒトの細胞のデジタル化だ。我々はデータマトリックスを使い各細胞の特徴を描写し、系統的に分類できる。我々は未知の細胞の種類を定義し、さらに特殊な発現パターンを観察した。チームはヒト細胞マップにより、成人の各種上皮・内皮・間質細胞が組織の中で免疫細胞の役割を果たしていることを発見した」と説明した。
またチームは時期・組織・種を跨ぐ細胞マップ分析により、細胞分化が混乱から秩序ある状態に変化するプロセスを踏まえたことを発見し、普遍性を持つ細胞運命決定メカニズムを明らかにした。
この研究は初めて単細胞レベルから胚及び成年のヒト細胞の種類を全面的に分析した。研究データは細胞の運命決定メカニズムを模索する資源の宝庫になり、人体の正常な細胞と疾病を持つ細胞の状態の判別に深い影響を及ぼす。臨床医は将来的に、正常な細胞を参考にし異常な細胞の状態と起源を判別できるようになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月27日