2010年以降、SF小説「三体」が多くの人から受け入れられ、「ヒューゴー賞」を受賞した。その映像化もしばしばスポットライトを浴びている。
ドラマ版「三体」が第4話の配信日に広く好評を博したのは、米国ドラマよりも中国の視聴者が受け入れやすい現地化された表現方法を採用しているためだ。これは、SF映像作品は崇高なコンセプトを掲げ、視覚的にインパクトのある表現をしなければならないという通俗的なミスを打破している。
さらに中国産ゲームのAAAタイトルの期待を担う「黒神話:悟空」が来夏発売と発表されると、直ちに検索ランキングに入った。アニメ版「三体」は大成功とはいかなかったが、近年の「哪吒之魔童降世」「霧山五行」「霊籠」や、昨年夏の「新神榜:楊戬」「山海経之再見怪獣」、今年上映されたばかりの「中国奇譚」など一連の中国らしさのあるアニメ・映像作品が次々と公開されている。これらの優秀作品はアニメ版・ドラマ版「三体」と共に、中国流行文化の経験が絶えずレベルアップする発展の過程を見守っている。
80年代の香港及び台湾の映像作品や流行曲などの流行文化に続き、中国の流行文化はネットドラマやネットエンタメから、スマホゲームや短編動画などのモバイルネットワーク時代のより高い次元の文化・エンタメ形態に移り変わっている。中国の3・4級都市及び多くの県級市に広がり、また持続的に文化を海外に輸出している。
世界的な広い文化的影響を生んだ「三体」、リリースからわずか2年で世界的な影響力を手にしたオンラインゲーム「原神」、ドラマ版「三体」の登場、期待されている「黒神話:悟空」など、新時代の現代中国流行文化の経験は80年代のほぼ全面的な「追走」から、一部分野で世界の流行文化をけん引し範を垂れるという歴史的な転換を迎えた。我々はよりしっかり現代中国の経験が生まれる現場に足を踏み入れ、文化分野の要素市場化改革を掘り下げ、高基準の文化市場体系を建設し、中国の流行文化の全業界レベルアップの現実的な道を模索するべきだ。
(筆者は中国芸術研究院副研究員、北京市文学芸術界連合会契約評論家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年1月17日