中国はこのほど、ニュージーランド、オーストラリア、ポーランドのビザ免除政策を試験的に実施した。統計によると、情報発表当日、オーストラリア発・中国行の航空券予約件数は20%増加した。今年に入り、オーストラリアからの中国旅行者は前年同期比で155%増加している。これは2023年12月と24年3月に二度にわたり実施した12カ国のビザ免除政策に続く、中国のビザ免除の「友達の輪」の更なる拡大となる。
数回にわたりビザ免除政策が実施され、外国人旅行者とブロガーが中国に押し寄せているが、旅行者の実際の体験は西側メディアの宣伝と大きな差があり、多くの人がカルチャーショックを感じ、一時期「China travel」は海外のSNSで話題になり、新たな人気の秘訣となった。「中国のリアルな美を見たい」というイギリス人ブロガーのハッチソンさんの言葉は、多くの外国人の心の声を代表している。
耳で聞いたものは当てにはならないが、目で見たものは真実である。中国を訪れた海外ブロガーが強いカルチャーショックを受けた理由として、以下の3つが考えられる。1つ目は、西側メディアが長期にわたり中国を「悪者扱い」していること。清華大学の李希光教授は1990年代に西側メディアの「中国を悪者扱いしている」ことを問題視して以降、西側のこういった傾向の報道は続いており、「中国崩壊論」や「中国脅威論」が耳に残っている。真実性、客観性、ポジティブ性に欠けた報道が長期的に存在し、受け手が影響を受けないことの方が難しい。さらに、世界の情報伝播がアンバランスなため、西側メディアの論調は容易にグローバルサウス諸国に拡散し、それらの国民の中国に対するイメージに影響する。
2つ目は、東西洋の発展レベルの変化が巨大な差を産んだこと。客観的に言って、中国文化と西側文化の間には確実に差が存在する。カルチャーショックはメディアが作り上げた環境がもたらしただけでなく、自身の体験とも関係している可能性がある。早期の異文化適応研究は米国に渡る移民を対象とし、移民は渡米時に高層ビルが立ち並び、交通量が多いことにショックを覚え、「アメリカンドリーム」は一時期ハリウッドの代表的ストーリーにもなった。しかし今では、西側社会は普遍的な発展の低迷に陥った。ブルッキングス研究所のある報告によると、1973年から2016年まで、インフレ要素を除くと、米国人労働者の実際の年収は0.2ポイント増加した。同時に、米国の世帯収入の差も拡大し、収入が最も多い上層の世帯20%では収入が27.41%増加したが、下層の世帯20%の実際の収入は減少した。薬物、医療、人種差別などの社会問題が常態化し、社会環境から孤立していた彼らは、伝説の中の「荒れ果てた中国」を実際に体験したとき、その差にカルチャーショックを覚えた。逆に、30年前に中国人が海外、特に西側諸国に行った時にもショックを受けていたが、今ではそのような感覚はなくなり、中国に及ばないとさえ感じており、このような差があってもおかしくはない。
3つ目は、長期的に見て、中国を訪れた外国人がカルチャーショックを受けたのは、西側の文明の優越感とある程度関係している。「黄禍論」、傅満洲(フー・マンチュー)、陳査理(チャーリー・チャン)など、文化交流の早期、中国人に対する固定観念は存在していた。戦後、表向きには文明優越論や人種優越論は排除されたが、かげではこのような観念は根絶していない。冷戦収束後、米国の「マニフェスト・デスティニー」や「普遍的な価値」の思想は逆に強まり、科学技術、スポーツ、環境など多くの分野で「師匠気取り」となり、根強い文明優越感を形成した。科学技術の面では、海外の進歩は剽窃だと疑われ、スポーツ競技では、他国のアスリートの成績もドーピングを疑われ、環境問題では、「砂漠改善は環境破壊」という怪論が登場し、自然災害に遭ってこそが自然を愛しているように感じる。中国の文化の自信が西側の文明優越感を打ち破り、「師匠気取り」が老眼鏡をはずした時、彼らはようやくプライドを捨て、本当の中国を理解する。
そのため、一部の国のビザを免除し、中国を訪れた外国人が海外のSNSに自分が感じたカルチャーショックをシェアすることは、西側の中国の歪曲を明らかにし、中国の本当のプラスイメージを伝えるうえでいいことだと言える。同時に、中国のストーリーを伝える任務は厳しく、西側の人たちの中国に対する先入観をなくすには時間がかかることも認識する必要がある。文明は交流により多彩になり、カルチャーショックを経て、多くの人は中華文化を再認識し、理解し、受け入れることができ、異なる文明の交流と相互参考は各国人民の共通のビジョンになると信じている。
(文:蘇婧 清華大学国際伝播研究センター秘書長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年6月26日