8月12日は「世界ゾウの日」だ。長年の取り組みを経て、中国のアジアゾウ個体群数が安定的に増加し、分布範囲が広がり続けている。ゾウの数が増え、縄張りが広がれば、ゾウへの観測と配慮もより細やかになる。
野外でゾウの数を数え、個体群数を把握するのは技術の仕事であり、肉体労働でもある。雲南省林業草原局のデータによると、雲南省の野生のアジアゾウ個体群数は現在300頭以上に増えている。分布エリアは北の3の州市、11の県市区、61の郷鎮に急速に広がっている。しかも今年の繁殖期には出産ピークを迎え、数が持続的に増えている。
シーサンパンナ国家級自然保護区科学研究所アジアゾウ観測センターの譚栩吉主任は、「以前ならばゾウの数を数える際に多くの地上観測人員とゾウ保護チームを使い、野外で摂食行動や活動の痕跡によって追跡していた」と述べた。
シーサンパンナの他に普洱も野生のアジアゾウの主要生息地の一つだ。普洱市林業草原局のデータによると、現在まで観測されている180頭以上のアジアゾウが普洱で活動しており、中国のアジアゾウ個体群数の6割以上を占めている。
全市には現在100人以上のアジアゾウ観測員がいる。彼らはアジアゾウの活動の軌跡を発見すると、直ちにその状況をショートメール、微信、放送によって村人に知らせる。
普洱市林業草原局の楊勇高級エンジニアは、「霧が深く、樹林が深く、人とゾウは安全な距離を取る必要がある。そのため個体群数の正確な観測が困難で、盲点となっている。そこで現在はサーマルイメージドローンによって観測している。より正確で、人による観測の不足を補った」と述べた。
調査によると、雲南省のアジアゾウ個体群には数の増加、個体群の拡散、習性の変化という3つの顕著な変化がある。
これは雲南省のアジアゾウ保護の強化による成果を反映したが、嬉しい悩みもある。野生のゾウは本来であれば人を恐れるが、現在は人を怖がらなくなった。ゾウは頻繁に農地や村に入って摂食し、その習慣に変化が生じた。人とゾウの活動空間が重なるようになった。より効果的な観測・警戒手段によって人とゾウの衝突を避けるため、雲南省は模索を続けている。
譚氏の説明によると、ゾウの観測・識別から警報を出すまで12秒しかかからない。プラットフォームの構築後、システム設置範囲内で人とゾウの衝突は生じていない。現在はドローンと全自動赤外線カメラがあり、アジアゾウのリアルタイム観測がより正確になっている。
アジアゾウ観測・警戒の長期計画によると、雲南省は今後「スマートパンナ」保護地観測体制を構築し、自然保護地の「天空地一体化」観測ネットワークを作る。クラウドコンピューティングやIoTなどの情報化手段を活用し、保護地観測データの分析と総合的な応用を持続的に強化する。自然保護地の資源の動的変化と人為的な活動の状況を速やかに把握し、科学技術で野生動物の保護をより良く支える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年8月12日