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親が30万元で家庭教師を依頼
発信時間: 2008-05-30 | チャイナネット

ある高校2年生の親が、30万元を払って家庭教師を雇い、大学合格を託した。このようなケースは、決してめずらしいことではない。上海のある有名な高校の教師、呉さんは最近このような親に出会った。ただし、親が高額の報酬の前提として要求したのは、子供と寝起きを共にし、生活、学習の両面にわたり子供の世話をしてもらいたいというものだった。呉さんにとっては今回のケースは初めてのことで、回答に苦しんでいる。「新聞晨報」が伝えた。

30万元もの報酬で家庭教師

およそ1カ月前、上海のある有名高校3年生の英語授業を担当する呉さんは、ある親からの依頼を受けた。親の希望は、9月に高校3年生となる自分の子供のために今年の夏休みから呉さんに家庭教師となってもらい、なおかつ生活を共にし、大学入試終了まで付き合ってもらいたいというものだった。親は30万元もの大金を支払う用意があると伝えた。

30万元のうち、アパートの家賃、および電気水道ガスなどの光熱費を差し引くと、最高20万元ほどが呉さんへの報酬となる。これほど高額な報酬は、一般的な高校教師にとってみれば、一見きわめて魅力的なように映る。

「親御さんにこのようなお願いを受け、実際のところ普段の学校での教鞭以外に、教師は課外においても学生に良好な学習環境を提供できる」と呉さんは語った。当の親は、子供の大学入試成績については特に具体的要求を挙げることもなく、もし大学に合格しなかった場合、海外にでも留学させるという。

家庭教師を依頼したという親は取材を拒否した。記者が周辺取材をおこなった結果、この親はケイさんという姓で、家庭状況は比較的裕福ではあるものの、今回の決断はやむを得ない結果のものだったようだ。ケイさんとケイさんの妻は長年子供と離れて仕事をしており、子供は上海市徐匯区にある寄宿制重点学校に通っている。子供と離れ離れになっている以上子供の世話をすることもできず、子供はこれまでずっと学校に寄宿しながら勉強を続けてきた。子供がまもなく高校3年生という大切な時期を迎えるにあたり、ケイさん夫婦は焦りを感じるようになったが、どうするすべもなかった。「今はとにかくお金のことは気にしない。ただ自分たちの代わりとなってくれる責任ある先生を探して、自分たちの子供の面倒をみてもらいたい」という。

ケイさんの考えでは、探し当てた先生に学校の外にアパートを借りてもらい、高校3年1年間の生活を共に過ごしてもらい、生活面での様々な些事については家政婦を雇ってもらってもかまわないという。一切の費用は30万元という大金に含まれる。当然、ケイさん夫婦も時間があれば子供に会いに来るという。

ケイさんによると、この考えが浮かんでから、ある人を通じ呉さんを探し当てたといい、子供が通う学校の先生にお願いはしなかったという。もしこのことが周囲の人たちに知られたら、子供を悩ませることになるからだという。

多くのことを考慮した結果、呉さんは未だケイさんの依頼には返答していない。「まず、これはまるで家庭保育員と変わりはなく、その中で教師として負う責任は相当なものになります。当然、付きっきりでの教育には利点がありますが、マンツーマンでの教育で本当に成績が上がるのか?金銭を受け取っても実際それだけ期待に応えられることができるのか?どれもみなとても複雑な問題です」。

呉さんはさらに、「教師の価値とは、一種の社会的価値」と認識している。もしひとりの親の要求に応えたとした場合、その学生のために多くの時間と力を注がなければならない。ひとりの教師が真に関心を持って全身全霊を注ぐべき問題に、時間の余裕などないはずだ。

「人民網日本語版」2008年5月30日

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