都市化は繁栄の道である。ただし貧乏人にとっては、それもまぼろしの世界に過ぎないのかもしれない。ボンベイの貧民窟の住民、あるいは「蝸居」(狭苦しい住まい)で暮らす北京郊外の若者たちを見れば、その答えがわかる。米紙『ニューヨークタイムズ』が伝えた。
アジア各国の成長、特に人口大国のインドや中国の成長は、複雑な都市化発展に対応する政府の策略にかかっている。それには、公共建設工事の提供から、教育や研修を通して数千万の土地を離れた農民が都市で落ち着いて暮らせる環境づくりまでが含まれる。
政策は各自の人口の現状に適していなければならない。中国の労働適齢人口は2015年ぐらいにピークを迎える。絶えず上昇する従属人口指数の影響を軽減するためには、生産力の持続可能な発展を重視する必要がある。インドに旅行したことがある中国人はインドの混乱した日常生活や一目で分かる貧困に驚愕させられる。しかしながら、中国は急速な経済発展のために払った代償を忘れてはならない。中国の煌々と輝く都市は、被差別の流動農民工によってつくられたものなのだ。
09年、農民工の総数は過去最多の2億1100万人となった。彼らは、故郷から遠く離れて汗水流して働いている地で、教育、医療、住居などの公共の福祉を享受することができない。社会管理の一つの方法として、中国の戸籍制度が十分にその働きを発揮しているからだ。金融危機の際は、2000万の農民工が仕事を見つけることができずにひっそりと故郷へ帰り、北京は静かになった。彼らは、スポンジが水を吸うように再び農村へと吸収されていくのである。
もちろん、戸籍制度を変えようという政治・経済的圧力はしだいに大きくなっている。上海などでは農民工の権益拡大が始まり、政府は農民工が中小都市で安心して暮らせるようにすると表明した。スタンダードチャータード銀行上海支店の中国研究担当スティーブン・グリーン氏は、「都市化と土地改革には大きな論争が存在するが、政府は小さな街の都市化により重きを置いているようだ」と指摘する。
全く欠点がないわけではない中国の政策企画にとって、農民を永久に土地から離すことは厳しい試練である。例えば、就業圧力を緩和するために中国は90年代に大学生の数を増やしたが、将来どういうことになるのか予測できなかった。大学卒業生は毎年600万人におよぶが、30%以上が就職できないのである。中国国際金融公司は最新の報告書の中で、「中国の現在の厳しい就職事情は構造的不均衡を反映している」と指摘。また、マッキンゼー・アンド・カンパニーは、「インドでは今なお、都市化の作用や、農村と都市のとちらかに将来性があるのかといった論争が止まない」と報告している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年8月10日